森のなか
読み直すには時間がない
うろ覚えの物語は
所々、記憶違いをしている
いつのまにか別に
ひとつの物語ができてしまうくらいに
思い込みとか勘違いとか
その時の感情とか
些細なことで景色はかわる
題名があって
物語の枝葉があって
でも
それぞれがみる花ひとつでも
わたしとあなたは違う
あたりまえだけれど
無数の物語の森の中
わたしたちは様々な葉を繁らせ
ささやかな花を咲かせて
自分のたったひとつの夢をみながら
こうして
立っている
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