ゴキブリの社会

第1話 生まれ変わったら、ゴキブリになっていた

　お酒を飲んで寝たその夜中、私は息苦しくなって、目を覚ました。

　次に私は、いくら息をしても息継ぎができない、海で溺れるような感覚を覚えた。

　隣で寝ている真理子に声をかけようとしても声が出ない。

　若い時に不摂生をしたツケが回ってきたようで、それは心筋梗塞であった。

　気が付くと、私はゴキブリに生まれ変わっていた。

　一番生まれ変わりたくなかったゴキブリにである。

　気を落ち着けて周りを見ると、そのゴキブリの社会では、私が死ぬ前にしていたようなことをゴキブリ達はしていた。

　羽があるのに自分の羽で飛ぶのは疲れるからと言って、ゴキブリ達は、ドローン型の自家用飛行機に乗っていた。

　教会でゴキブリ達は、ゴキブリの形をした神様に祈りをささげていた。

　私は死ぬ前に持っていた知識を活用し、ゴキブリの社会に適応して生きていくことを決めた。