act.2 ギャラクシー篇⑤
着いた。
ハルヒというよりは長門の
「下がってなさい!」
ハルヒはそう一声かけると、光線銃を熱線モードにしてメタリックな
こんなシチュエーションだ、
ハルヒはずかずか踏み込むと、
「あんたたちが銀河ナントカ帝国の王子と
王子ならびに姫という話だが、別に
おまけにポカンとしているせいで、顔にしまりも
てなことを俺が思っているのもほったらかしで、ハルヒは二人の腕をむんずとつかむと、
「退散よ。
有無を言わせぬいつもの
いくら艦内が戦闘配置になっているからと言って全員に持ち場があるわけでもないようで、
元来た道を走ることしばし、
「キョン、発進して」
艇内に戻ったハルヒは王子と姫を隊長席の横に立たせたままで、自分だけはちゃっかり席に着き、
「全
「
副操縦士から砲撃手に配置
「ファイア!」
という
荷電
乱雑な
「みくるちゃん、通信開いて。こっちの味方のほうに」
ハルヒが隊長らしく飛ばした指示に、朝比奈さんがおぼつかなくも応じる。なぜか俺が宇宙船を操縦できているように、彼女も通信のやり方が解っているらしく、不思議なこともあるもんだったが、逆にまったく不思議ではない気もする。何でもありだ、ここは。
『聞こえるか、広域銀河観察機構パトロール部隊所属のハルヒチーム』
聞き覚えがあったような
『こちらは第五銀河分離帝国、余がその
「お子さん二人、救い出してきたわ」
ハルヒが得意そうに、
「これでいいんでしょ?」
『感謝する。
ぷつりと通信が
「これで終わったんだよな」
俺は古泉に、いやこいつに言ってもしょうがないから言葉の途中から長門のほうを向いて言った。
「…………」
レーダー要員席に着いていた長門は、不意に立ち上がると隊長席横に立たされている王子と姫のほうへ歩いていく。なんだ? 王子と姫の二人は無反応。
長門は例の深層海洋水みたいな静かな
「あ?」と俺の口が言う。
長門が
「ロボット」
長門はポツリと
「これはこれは」
古泉が
「
「じゃあ、本物はどこ?」
ハルヒの問いを受け、古泉はスクリーンに目を向けた。
「二人があの
カラフルビームで入り乱れる星空に、また一つ
「で?」
俺は暗い声で誰に言うでもなく、
「もしかして、俺たちの
「そのようです」
古泉は
「
「だったら急いでそうしろよ。
「いえ、これは感覚的な問題ですが、すでに手遅れになっているような気がするのですよ」
俺もだ。きっと全員の意見が
なぜなら――。
目の前の風景が解け崩れ始めていた。ワイド画面のスクリーンがぼやけたように消えていき、黒い紙に小さい穴を
なんだこれは、とツッコミの言葉も出せず、俺の耳は長門のセリフを聞いた。
「ミッションインコンプリート」
どういうことかと問うまでもなかった。これ聞くのも二度目だしさ。
「あー……」
またしても、だ。俺たちは失敗したらしい。王子と姫の本物が乗っていた船は味方に撃沈され、二人は
「ペナルティ」
長門の追加のセリフに、俺は
風景が劇的に変化していくのを見るのも二回目だと感動もない。広がっていた暗い夜空が
「…………」と俺と長門と古泉と朝比奈さん。
最初はファンタジー世界、次はスペースオペラ、そして三度目は――。
顔を上げると、そこにあったのは
「…………」
総員、無言。
テンガロンハットを
「やれやれ」と言うしかないね。
ホルスターに入ってるのは光線
ってことは、これは……。
「さあ、みんな」
ハルヒがにこやかに宣言した。
「行くわよ。賞金首の悪党どもに
そういうことになってしまったらしい。
こうして俺たちの西部劇――まさに劇だな――が始まりを告げた。
誰に
「いつまで続くんだ? これ」
「課せられた任務が
「それとも僕たちをこのような場に
「いつまでもこのままではないと思います。今はせいぜいロールプレイを楽しむことにしようではありませんか。
はわわ、と口と目をいっばいに開いている朝比奈さんの
「まず馬を調達しなきゃね。
十九世紀の北アメリカみたいな
果てしのない荒野を目指して――。
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