act.2 ギャラクシー篇
act.2 ギャラクシー篇①
何が何だか
SOS団の五人が
そして、つくづくこう思う。
一体俺たちは何をやらされているんだ?
ここは、この『世界』は何なんだ? 俺たちは今どこにいるんだ?
推理好きの
RPG回同様、この世界でもコンプリート条件が設定されているようで、それがまたもや王子と姫君の
なんたって、どう見ても操縦桿としか思えない棒を握って操縦席に座ってんだもんな。
目の前のスクリーンには瞬かない星々がわんさか連なり、これ以上ないほど現場が宇宙であることを教えてくれている。宇宙旅行は俺が幼い
まったく何の下準備もせずに宇宙に出ちまうとは、日々血の
もっとも、これが現実の宇宙かどうかは知れたことではなく、どちらかと言えば別の意味の夢である可能性のほうが高いので、星の大海を
「さ、キョン」
ハルヒの
「さっさと宇宙海賊を
宇宙艇と言いつつ、この乗り物はそんなにデカくはなく、この操縦スペースもちょうど文芸部部室くらいの広さだ。最後列の一段高いシートにハルヒが座っていて、ちなみにその席には『隊長』と刻印されたプレートがついていた。
ハルヒの顔は底抜けに元気そのもの、
どこかノスタルジーを感じる海外SF的コスチュームをまとったハルヒは、
「とりあえず海賊の巣まで一直線に行きなさい。そしたら後は簡単よ。親玉のところに乗り込んで――」
と、
「これでドンパチすればすぐに終わるでしょ。ついでに
光線銃を振り回して言うのはいいが、うかつに引き金を引かないでくれよ。俺は光速で飛んでくるビームをかわせるほど動体視力がよくないからな。
「安心しなさい。
ハルヒはすちゃっと銃をホルスターに戻し、
「だからね、キョン。早く海賊の巣まで行くの。この宇宙艇、ちゃんと動いてる? 外の風景が全然変わらないけど」
なぜかアナログチックなスピードメーターによると
「まあ、それはいいんだがな」
俺は首を振りながら、
「どっちに向かって進めばいいんだよ? 海賊ってのは、いったいどの辺に巣を作ってやがるんだ?」
「さあ」
ハルヒは迷いなく返答した。
「知らないわ。
水を向けられた長門は、無言のままゆっくりと首を
「…………」
ハルヒと同じコスチュームに身を包んだ長門はコンソールをちょこっといじくり、言葉を注意して選ぶように、
「全方位索敵モード。情報収集中」
とだけ答えた。
「なるべく早くお願いね。ちゃちゃっと仕事を片づけて惑星観光したいから」
ハルヒは隊長席にふんぞり返り、長門と反対側の側面シートに目をやった。
「みくるちゃん、お茶ちょうだい」
「あ、はい」
これまた無体な衣装に身を包んだ朝比奈さんが立ち上がり、後方の自動
「どうぞ、お茶です。ええと、パックには惑星ドンガラ産の
「お茶もいいのですが」
「目的地に向かうにはまず我々の現在位置を特定しなければなりません。宇宙は広大ですからね」
俺のすぐ横にいるのだが、古泉のほうはなるべく見たくない。なぜなら古泉が着ているパイロットスーツみたいな服は俺のものと同一で、こんな格好をしている自分に深い疑問を感じずにはいられないからである。
古泉は部室にあるのとそっくりの専用湯飲みから口を離すと、コ・パイロット席のコンソールを指し示し、
「一通りいじっているうちにこの宇宙の星図が表示されました。それによると、我々は第五銀河
そういや皇帝とか名乗ったどっかで聞いたことのあるような声がそんなこと言ってたな。
「へえ」
ハルヒはズルズルとお茶を
「で、海賊の巣は?」
「それがよく解りません」
古泉は片手でパネルを操作し、モニタに多数のウィンドウを表示させつつ、
「国家の数が非常に多い上に、未探査になっている
割合、
「もちろん、依頼された用件が解決したらでしょう」
俺に
「まず宇宙の歴史を学ぶとしましょうか。僕たちに助けを求めてきた方は、第五銀河分離帝国の皇帝陛下とのことでした。第五とついていることから
古泉の指の動きとともに、前部スクリーンが星図に変化した。何色にも色分けされた平面図が
「最初は一つの帝国が全域を支配していたようですね。それが
「もういい」
俺は
「この世界が銀河帝国だらけなのは解った。それで、
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