act.1 ファンタジー篇④
城下町を出ると、そこは緑の平原だった。色の
「よいか」と森の賢者は俺たちを先導して歩きながら、「まずはあれに見える森の最深部、そこに
それを取ってこい、というわけである。
「オッケー」
ハルヒはうなずくや
「さあみんな、ちゃっちゃと終わらせましょ。行くわよ!」
やにわに走り出した。追いかける以外にないだろう。勇者一人を
背後で老賢者が何か――「待て」とか「話はまだ」とか――言っていたような気がしたが、ハルヒのスピードに付き合っているおかげであっという間に遠ざかる。
森の中のまっすぐな道を走って数分、
「うわ」
そこは
「わあ、大きい……」
朝比奈さんがそう言って息を吞む。
「確かに」古泉が
「…………」
長門はただ見上げているだけだった。俺もそうである。言葉をなくして目の前にわだかまる巨大な
「えーと」
ハルヒはこりこりと頭を
「最初に出くわすモンスターがこれなわけ? どっかおかしいんじゃないの?」
頭のネジに故障を
そこにいたのは
どうしようもない。そいつのドラゴンブレス一発で、俺たちは
「だから言ったじゃろう」
森の賢者がしかめ
「最後まで話を聞くのじゃ。洞窟のガーディアンドラゴンは、今のおぬしたちのレベルで
森の入り口に俺たちはいる。全滅したはずなのになぜ生きているのかと言うと、言うまでもなくここがセーブポイントだったからだ。それ以外に何かあるか?
「解ったってば」
ハルヒは
「ようは鍵を取ってくれば文句ないんでしょ? 今度は
「だからわしはその方法を教えようと――」
「いいから、もう
ハルヒの
「さっきは油断してたわ。不意を打たれたってやつよ。心構えさえしてたら、あんなのにやられることはなかったわよ。次はコテンパにしてやるからね!」
そう言ってまた
そうやって再び洞窟に突入した我々は、再びドラゴンに直面することになり、ドラゴンブレスを浴びるところまで忠実に再現して、やっぱり全滅することになった。
「話を聞けと言うのに」
森の賢者の声は
「もう、腹が立つわねえ」
ハルヒはイライラと
俺たちの全滅は五回を数えていた。それもこれも、ハルヒが考えなしに
「ハルヒ、ちょっと落ち着いて爺さんのアドバイスを聞こうぜ。このままじゃ、こっから永遠に動けないぞ」
ハルヒはふんと鼻を鳴らし、どっかと
「うむ。では教えよう。洞窟の竜を
と、
「この『
森の
「回りくどいのはよしましょ」とハルヒは追い
「ちょっとでも動くとスパッといっちゃうわよ。これでもあたしは敬老精神持ってるからね、心が痛むわ」
森の賢者、口ぱくぱく。アイテムを
「さ、
「…………」
長門は急ぐふうでもなく、すたすたと賢者に近寄って、
「世界の
剣を納めてハルヒは会心の笑顔である。
「だって世界が破滅したら
そして、片手を突き上げ天下に号令するごとき気勢を上げるのだった。
「行くわよ、キョン。みんな。眠らせた竜をタコ
そっちが目的かい。
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