第22話 シャルル殿下の決意

 シャルル殿下は語る。

「アンジェリカ、お前が話してくれたおかげで今後ジェニーが被るであろう被害を未然に防ぐ事が出来るかもしれない。俺は勇者の使命であちこちの魔物を討伐しなくてはならないため、きっとジェニーより先に死ぬ。ジェニーは王妃になるとは言え、このままではきっと良くない待遇を受ける事になるのだな……」


「そうね。子供も王位継承権を剥奪されたりとか、普通にありそうだわ」

「だから俺は死ぬまでの間に元聖女を保護出来るような環境を整える。せっかく巡り会えたんだ。ジェニーには、俺が死んだ後も幸せでいてもらいたい……」

「シャル……」


 シャルル殿下は、顔を赤らめながらこう続けた。

「まだ会って間もないのにこんな事を言うのはおかしいと思うかもしれないが……俺は、ジェニーの事を愛しているんだ。俺が生きている間だって、ジェニーに不自由な思いはさせたくない。だからこそアンジェリカ、お前に頼みたい。ジェニーの侍女になってはくれないか?」


「私が……この子の侍女?」

 アンジェリカは真っ直ぐに私を見つめてきた。侍女って、付き添って色々助けてくれる人の事だよね。それなら私も……。


「私からもお願いします! 私田舎者で、全然世間の事を知らなくて……だから、色々教えて下さい、お願いします!」

 更にファフニールも続く。

『我の解呪をしてくれたのはこのジェニーだ。だから我からもお願いしよう。この子の助けになってやってくれ』


「私、色々ヤバイことしてるけど……いいの?」

 アンジェリカはそう申し訳無さそうに言った。

「誰にも言わなければ大丈夫です!」

 私がそう言うとシャルル殿下も「そうだな。この事は皆墓場まで持って行こう」とフォローをしてくれた。


 アンジェリカは「あはは、何それ」としばらくお腹を抱えて笑っていた。そして、柔らかい表情でこう言った。

「分かったわ。ジェニー、あなたの侍女になる。当時最強の魔女だった私が守るんですもの。お城での生活は安心してくれていいわ」


「『ありがとう!』」


「なら、侍女になったついでに早速お姫様に良い事教えてあげる」

「何ですか?」

 私は首を傾げて続きを待つ。


「あのセイラって女の子の本当の姿。気になるでしょ?」

「やはり他にもあの女に魔法をかけていたんだな?」

 シャルル殿下がそう食い付くように言うと、アンジェリカは大きく頷いた。

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