テンションぶち上げ朝型女子と、ツンデレ美少女夜型女子から同じ日に告白された俺は迷った挙句、二股を楽しむことにします
テルト
第1話 テンションぶち上げ女子 Ⅰ
今日だけで二人の女子に告白された。
片やテンションぶち上げ超絶陽キャで同クラスの女子高生。
片や定時制夜間クラスの夜型ツンデレ美人女子高生。
人間の長い人生の中で、大半の男性は経験することができない現象が起こってしまった。
生まれ落ちてから死ぬまでの間、一度も告られない奴もいるというのに……。
内に秘めた喜びの感情が漏れ出す。
「モテ期きたぁぁぁぁぁァァァァ!!!!」
ふぅ……。
少し冷静になろう。
大変贅沢な悩みではあるが…………。
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう……。
チキンな俺には選べない……選ぶ勇気がないんだ。
普通ならしっかり悩んで、悩み抜いて答えを出すべきだよな……。
くそっ……優柔不断な自分が憎いぜ。
だが俺はふと思った————————。
「あっ、二股しよ!!!」
————————刻は今日の朝まで遡る。
「神山っち、おっはぁぁぁ〜〜!!!
「璃子おはよう! 今日も登校時間被っちゃったな!!」
スマホの目覚ましはしっかりとかけていたのだが、お決まりの五分置きスヌーズに切り替えて二度寝を繰り返し、やっと目が覚醒した時には既に手遅れだった。
急がないとまたうるさい担任にドヤされる。
だが遅刻癖が酷いのは俺だけではない。
隣で一緒に学校へと走っている
俺たち二人は遅刻の常習犯として担任に徹底マークされている。
高校に入学してから三ヶ月経過した今では、クラスメートからお寝坊カップルなどと呼ばれる程にだ。
「神山っちってばまた遅刻〜〜!? ほんとだらしないな〜〜。そういう男はモテないぞ〜〜?!」
「璃子も思いっきり寝坊組だと思うけどな……」
カップルとかもてはやされてはいるが、俺たちは別に交際しているわけじゃない。
毎回二人で遅れてくるから皆面白がっているだけだ。
「神山っちと遅刻ダッシュすんの何回目よ〜! マジウケるんですけど〜!!」
「俺たちかなりの頻度で遅刻してるからな」
「今日は間に合うか微妙だけどね〜。遅刻したら鬼やべぇぞー」
何故二人揃って登校してるのかと言えば……。
アパートの202号室が俺の部屋。
アパートの201号室が璃子の部屋。
高校に進学してから一人暮らしを始めた俺だったが、丁度同じタイミングで引っ越してきた住人が望月璃子だ。
最初挨拶周りに行った時は、変な奴が来たなぁ……なんて思ったりしたっけ。
本当に初対面の時からうるさかったからね。
入学してから僅か二日目の朝。
ドアの前でバッタリ会って、当たり前のように二人揃って大遅刻したなんてことも……。
あれから定期的に遅刻を繰り返し、その度に璃子と走ったなあ。
先生から耳にタコができる程叱られたけど……そのお陰でこの子とは結構仲良くなった。
にしてもこの暑さ……入学した頃は涼しかったからまだいいけど、もう走るのは自殺行為としか言えない。
「あづい〜〜もう限界〜〜〜汗かき過ぎてメイク落ちちゃうよ〜。ちょっと休憩タイムいれよ〜〜!!」
「俺も限界近い。休憩しよう」
前々から思ってたけど結構可愛い。
客観的に見てもスクールカースト上位には入れる素質がある。
アホみたいにテンション高いけどね……。
望月璃子は最近のギャルっぽい女の子。
明るい茶髪で毎日バッチリとメイクを決め込んでいるが、一昔前のようなケバい感じではない。
一定間隔でメッシュが入ったり入らなかったり、一本結び、三つ編み、巻き髪とコロコロ髪型が変わっていく。
明るくて、活発で、天真爛漫な女子高生といったところだ。
「うわぁー下着が汗でビショビショじゃーん。替えとかある訳ないよー。神山っち持ってないか?」
「はぁ〜〜?!?! 持ってたらただの変態だろ!!」
「神山っちって……変態じゃーん!!!」
「グハッ……刺さった……」
完全に変態認定されてるし、俺の評価酷すぎないか……。
「背筋伸ばして体ほぐして〜〜はいっ元通り〜!! 余裕余裕!!」
「体力回復早すぎ!!」
反った時の引き締まった体が最高だ。
高一で既に成長仕切った豊満な胸。
汗でワイシャツが濡れてるのが妙にセクシーである。
「よっし! 校門前まで競争な!! 負けたらランチ奢りだからな〜」
「負けねぇ!!」
「うりゃぁぁぁあ!! いっけぇぇぇぇっ!!!」
「間に合え〜!」
今日遅刻すれば担任との約束通り、放課後居残りで反省部屋に連れ込まれてしまう。
それも二人同時にだ。
バイトのシフトも入ってることだし、何としてでもお仕置きは避けなければならない。
……三十秒遅かった。
ああ〜終わった。
また長時間の正座で足がガクガクになるよ。
「はぁーはぁー……ハハ……キャハハっ!」
「ぜんっぜん笑えない状況だぜ全く。超面倒臭い居残り確定だよ俺たち!」
「楽しければ何でもよし! 気にすんな♪」
「確かに……そうかも……ハハハっ!」
この子といると嫌な事とかすっ飛ぶんだよね。
正直言って飽きないし楽しい気分になれる。
裏表なく堂々と話が出来るし、気を使わないから楽なんだ。
こんな奴今まで出会ったことない。
「急がんと先生激おこだから!! 急ご急ご!!」
「おぅ……」
手をガッチリと握って引っ張られ、思ったよりもドキドキしてしまった。
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