桜とモグシリーズ(1)ーお弁当泥棒は異次元生物でした!ー

@anichi-impact

プロローグ

「やっとお昼だー!」


桜は、教室の窓際に座りながら、大きく伸びをした。今日も授業中に居眠りしていたせいで、先生に怒られるのをギリギリで免れたのだ。けれど、お弁当のことを考えれば、それくらいのことはどうでもよくなる。お母さんの手作りお弁当は、いつだって桜の一番の楽しみだ。


「今日のメニューはなんだろう…あれ?」


ふたを開けた瞬間、桜は目を丸くした。お弁当の中が空っぽだ。詰めたはずの唐揚げも、卵焼きも、ぜんぶ消えている。


「ええっ!?お弁当泥棒!?」


隣の席の友達に聞いてみても、誰もそんなことは見ていないらしい。桜は困惑しながらも、心当たりがまったくない。だが、その瞬間、教室の隅から奇妙な気配が漂ってきた。なんだろう、変な感じがする…。


桜はふと振り返り、机の下に視線を落とす。すると、そこに――見たこともない小さな生き物が、唐揚げをもぐもぐと食べているではないか!


「な、なにそれっ!?」


小さな生き物は、フワフワした耳と、ちょっとした羽を持っていた。まるでぬいぐるみのような姿なのに、確かに食べている。桜は思わず目をこすったが、見間違いではなかった。


「私のお弁当…返してよ!」


桜は思い切って手を伸ばしたが、その瞬間、生き物はピョンと飛び跳ね、あっという間に教室の窓から外へと消えてしまった。驚きながらも、桜は後を追いかける。


「待てーっ!」


こうして、桜と謎の生き物とのドタバタな冒険の日々が始まった――。

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