第62話

律花said


”自分を大事にしろ”


朔夜が言うとは正直思わなかった。


この言葉は私も前に優愛に言ったことがある。


自分のことなんて眼中に無い。いつも優先するのは他人のこと。


それは優愛の悪い癖だと私は思う。


本心では傷ついているのにわざと傷つかないフリをする。


元々·····いや、”あの時”から優愛はこういう子だ。


笑顔を作って、壁を作って、わざと嫌われるように仕向けて、自分に目を向けさせないようにする。


優愛をそうさせてしまったのは紛れもない私だ。


洸や朔夜は気づいているでしょうね。


私と優愛の間にある何かに。


けど、決して踏み込んでは来ない。それが彼らのやり方なんだとか。

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