友達【BL/執着/ヤンデレ】
君は僕の友達。
かけがえのない大切な友達。
いつも僕に優しくしてくれる。
だから僕も君の事を大切にしたいと思った。
お前は俺の友達だ。
誰にも渡したくないほど、狂おしい友達。
いつも俺を頼りにしてくれる。
だから俺はお前を離したくないと思った。
君は僕に何かと世話を焼いてくれる。
嬉しい反面、少し心配症すぎるかなと思う。
でも、哀しげな顔をされるとつい、好きな様にさせてあげてしまう……友達を哀しませたくないから。
何かと自立したがるお前に苛つく。
何で俺から離れたがる?
哀しげな顔をしたらお前は俺の好きな様にさせてくれた。
これは丁度良い……そうやって黙っていうこと聞いていればいいんだ。
君の様子がおかしい。
誰に対しても優しかった君が、近頃、冷たくなったと専らの噂だ。
僕に対しては前と変わらない様子なのに、どうしたのだろう。
今度彼に訊いてみよう……。
お前の様子が気に入らない。
誰彼構わず笑顔を振りまくお前に、周りが勘違いをし始めている。
俺だけを見ていたんじゃないのかよ。
今度、お前に注意しよう……。
今日、彼にここ最近の様子を聞いた。
そしたら彼は、僕のせいだと言う。
僕は何をしてしまったのだろうか?
彼に謝ると、次からは気をつける様に言われた。
今日、お前が最近の様子を聞いてきた。
だからお前のせいだと言ってやった。
お前の周りへの態度が気に入らないと……。
お前が謝ってきたから許してやった。
次からはマジで気ぃつけてくれよ。
最近、彼は僕に酷く当たる様になった。
他の人と共に行動すると、彼は僕を無理矢理引き剥がす。
それから別室に連れ込まれると、まくし立てる様に怒るのだ。
握られた腕の骨がキシリと痛む。
彼はどうしてしまったのだろうか……不安だ。
最近、お前は俺の言うことを聞かなくなった。
何度も駄目だと言うのに、お前は他人と一緒に居たがる。
その度に俺はお前を引き剥がし、説教をする。
握り締めた腕を痛がるが知ったこっちゃない。
自業自得だろ……。
彼がおかしくなってから、僕は彼から距離を取り始めた。
ホントはこんな事したくなかったけど、今の彼がまた昔の様に戻るんじゃないかと思って敢えて離れた。
多分、僕のせいで彼は変わってしまったのだろうから。
早く優しかった彼に戻って欲しい……。
最近、お前は俺を遠ざけ始めた。
何故だ?
なんでお前は俺の言うことを利かなくなった?
ああああっムカつく。
イライラする。
何故、俺を苛つかせる……!!
今日、彼に呼び出されて空き教室に向かった僕は、背後から突然彼に抱き締められた。
振り返ると、彼はいきなり僕にキスしてきた。
訳が分からず彼を押し退けてその場から走り去る。
どうしてあんな事してきたのだろう……彼が分からない。
お前が俺の事を避けてから、段々可笑しくなっていくのを感じる。
何か良い方法はないかと考え、お前を呼び出す事にした。
空き教室では、久しぶりにお前と二人きり。
ホントはただお前と一緒にいたかっただけだったが、お前の姿を見たら抑えきれなくなって抱き締めた。
振り向き驚くお前が可愛くて、つい、キスをしてしまった。
俺を押し退けて走り去るお前にハッとする。
そしてある感情が生まれた。
嗚呼、なんだ……
俺は
お前が好きだったのか。
どうしよう……。
彼の顔がまともに見られない。
あの日以来、彼を見る度にあの光景がフラッシュバックする。
それから生理的に彼を拒んでいる自分に気付いた。
もう彼の事を友達だと思えなくなり始めている。
自分が蒔いた種なのに……。
彼が怖い。
お前があの日以来俺を拒絶しているのが分かる。
目を合わせないし、挙動もおかしい。
何かと理由をつけて離れていた前とは違い、明らかに俺を避けているのは一目瞭然だ。
そりゃあ、いきなり野郎にキスされたらそうなっても仕方ないか……。
でも、俺もお前の事が好きだと自覚したからには、手を討たないわけがない。
ここ暫く、彼が僕に絡んでくる事はなかった。
僕も彼を目にみえるかたちで避けていたのもあるが、それでも彼との距離が遠ざかっているのは明白だ。
それに、彼はまた昔に戻りつつある。
最近では他の人達とよく連んでいるのをよく見掛ける。
僕は内心ホッとした。
このまま彼が僕から離れてくれればいいと、そう思っていたからだ。
だけどその矢先、僕はクラスで“はぶかれ者”となった。
皆は僕をいない者の様に扱い、僕は独りでいる事が多くなった。
理由は分からない。
友人達は僕から次第に離れていき、そして誰も居なくなった。
それと真逆に、彼にはまた友達が増えていった。
元々人脈のあった彼の事だから離れた友人達とやり直す事は意図も簡単なのだろう……。
彼は前の友人達や、新たに出来た友人達に囲まれて、昔の様に優しかった彼に戻っていた。
時折仲間達に囲まれながら僕を哀れむ様に眺めている。
嗚呼、これはきっと罰が当たったのだ……。
僕は何となくそう思った。
お前が俺を拒絶し始めたから、俺もお前を拒絶してやろうと思った。
でも俺だけしても意味がないから、俺はクラスメイトを巻き込んだ。
人脈を造り上げ、お前のあらぬ情報を垂れ流さし、皆から疎外させる事はいとも容易い事だった。
お前が独りになっていく様はなんとも愉快で哀れだ。
絶望の淵に立たされた顔が可愛くて仕方ない。
早く抱き締めて独り占めしたいという欲を抑えながら、俺はお前に近づく隙を伺っていた……。
僕が独りぼっちになって数週間が過ぎた頃、彼が僕に話掛けてきた。
彼は少し戸惑ったように僕を見つめて、そして告げる。
「あの、前はゴメン。その、いきなりキスして……」
僕は彼の言葉に目を見開く。
今の今まで忘れていた事を思い出す。
「あっ……いや」
なんと言って良いのか分からず、ただそれだけ返した。
彼は目を泳がせながら僕に続ける。
「あの、さ……、もし、嫌じゃ無ければ、、またやり直したいンだけど」
そう言って彼は僕に手を差し出した。
今、この手を掴めばこの状況から抜け出す事が出来るかもしれない……。
僕は喉を鳴らした。
彼からされた事を何とも思わなかった訳じゃない。
今だって思い出すと拒絶反応で体が震えた。
だが、ソレよりも僕は自分が嫌だった。
彼を上手く利用しようとする浅ましい自分が……。
だからすぐに手を出す事が出来ずにいると、戸惑う僕へ彼は俯いた。
「やっぱり、嫌だよな……?」
そう呟き、哀しそうに笑って彼は踵を返した。
立ち去ろうとした彼の背中に思わず手を伸ばす。
「待って!!」
彼の肩を咄嗟に掴むと、彼は立ち止まった。
「何……?」
振り向かずに訊ねる彼の肩から手を離す。
「僕は、、僕も仲直りはしたい。でも、君も知っているだろ?僕の現状……」
「……」
「だから君を利用するようで嫌なんだっ!」
そう素直に答えると、彼は振り返って僕を見つめた。
「利用しろよ」
「でも……」
「お前と仲直り出来るなら、利用されたって何とも思わないから!」
彼は手を伸ばし、僕の手に触れた。
「これで仲直り成立!!」
握手のように握り締めながら笑う彼は、前の優しい彼そのものだった……。
握手をしたお前は、薄ら涙を浮かべて喜んでいる。
嗚呼、久しぶりに触れたその手に鳥肌が立つ。
お前に触れたのはキスした時以来だったから、尚更神経が過敏になっていた。
背筋がゾクゾクして異常なまでの執着が再び蘇った。
俺は此処まで欲深かったか……?
まぁ、いい。
今はまだ抑えておこう。
優しい見掛けに騙されて、まんまと罠に嵌まってくれたお前のお陰でやっと零に戻れたんだ……。
同じ過ちは繰り返さない。
次は必ずお前をモノにすると決めたのだから。
嗚呼、早く。
お前を俺で汚したい。
友達になれなくて、ゴメンなっ……?
終
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