第39巻 わたしが見た世界

長編小説

わたしが見た世界

第39巻

わたしは世界を見た、その世界はとても豊かでとても悲しい世界でとても苦しい世界だった。しかし幸せに満ちて、絶望に満ちていた。しかしわたしはそんな世界を望んだ、いやわたしは幸せの世界を望む、いやわたしは不幸な世界を望む。わたしは矛盾を抱えていた。わたしは答えのでない矛盾を抱えていた。なぜこの世は観測結果によって見方が変わるのだろうか、粒子の性質が変わるのだろうか、宇宙のあり方が変わるのだろうか、わたしはこの世が矛盾に満ちていると理解した。いや理解できないことを理解した。この世は言語化することはできず、人智を超えている現象が存在する。しかし、人間は世界の美しさを追求した。わたしはこの世は表現できないものだと分かった。だからこの世を表現するには言語で表現するには終わりはないと理解した。この世の真理を語るにはそもそも言語では表現できないから永遠を持って表現するしかない。終わりのない小説を持って表現するしかない。この世の真理は強大であり、そもそも言語化することはできない。だから人は感じるのだ、人はだから心が存在するのかもしれない。それはわからない、いや分かってはいけないものなのかもしれない。人々は世界を見た、そしてわたしも世界を見る。しかし見方が違うから違う世界の見方である。わたしの世界を教えよう。この世には完結する物語がある。それは一見して完結しているが自分の中でどうにでも改変や発想ができる。だからわたしの世界は全ての事象を改変した。わたしが都合のいいように改変したのかもしれないが、わたしの頭の中で改変を行った。それが物語、人が作り出す無限の可能性。それは誰にも理解することはできない領域、一つの世界、いや一つの宇宙、だからこの世には理解できないことが存在する。だが人々はそれを理解しようと追い求める。それが人間の好奇心であり、生きる意味そのもの。わたしの世界は支離滅裂、だがこの世がそもそも支離滅裂、わたしがおかしいのではない、この世が元からおかしいのである。だからわたしは自分の信念に従った。だからわたしはそれに従う、それは信念となり生きる意味となった。だからわたしは死を選ぶ

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