第17巻 1人の志願兵
長編小説
1人の志願兵
第17巻
その世界は平和と戦争があった、いや戦争があるから平和はあるのかもしれない、だが確かにその世界には戦争があった。確かにその世界には戦争があった、だから人々は平和を謳う。なんて残酷なのだろう、君は考えたことがあるだろうか、平和とは何か、戦争とは何か、1人の志願兵はいつもそのようなことを考えていた、そしてそれを紙に書いた。そうその志願兵は家族に宛てる手紙ではなく、戦争を問うた。そう、これは誰にも語られることも知られることもない、1人の志願兵の物語、志願兵は銃を持ちいつも考えていた、敵とは誰なのか、味方とは誰なのか、周りの兵士は敵を殺すことだけを考えていた、だが1人の志願兵だけは何故人を殺さなければならないか考えた、いや誰しも考えたのかもしれない、だが現実に目を向けられずいつも考えるのをやめた、しかし1人の志願兵だけは考えていた、敵にも家族がおり、味方にも家族がおり、では誰が本当の敵なのだろう、国?政府?国民?、元を辿れば人々が国を作り、政府を作り、政府が戦争を起こした、では誰が敵なのだろうか、誰も考えなかった。答えを授けよう。何もしなかった君だと。いつも人々は平和に浸る、そう今にも崩れそうな橋の上を渡っている、だが渡っている本人は気づかない、気づいたところで何もしない、いや人々は言う、何も出来ないと、仕事がある、今の幸せがある、そお言って人々はいつも現実に目を逸らす、紛れもないこの世で戦争が起きているのである、1人の志願兵は言った、この世に戦争があるから平和があると。戦争があるから平和を望むと、1人の志願兵は言った、平和のために人を殺すと、平和を守るために戦争をすると、1人の志願兵は泣きながら銃を手に取った。そして戦場に出た。
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