第46話 鋼の男
獅子王アーサーは、森の中を急ぎながら駆け抜けていた。
次なる目的地を目指し、心臓の鼓動に合わせて脚を繰り出す中、どこからか激しい怒鳴り声が耳に届いた。
声の主を知るため、獅子王アーサーは足音を消しながら慎重にその方向へ進んだ。
近づくと、視界の先には二人の男の姿があった。片方は鋼の皮膚に覆われたような、気の強そうな男。
筋肉質な体格と硬派な表情からは、少し威圧感が漂っていた。
逆にもう片方はひ弱そうな男で、細い体つきで顔色も冴えない印象を与えている。
彼は気の強そうな男から烈火のごとく怒鳴られていた。
「お前、全然役に立たねえじゃねえか!俺たちが手を組んだ意味がまるでない!」と、鋼の皮膚を持つ男は声を怒りで震わしながら、相手を責め立てた。
ひ弱そうな男は、か細い声で反論する。「でも、ロボットが相手だなんて思わなかったんだ…コアは確かに役に立たなかったけれど、僕が頑張ってロボットの気をそらしていたからポイントが取れたんじゃないか。」
「口答えする気か!」と怒声が木々を震わせた。
「お前の役目なんて何もなかったんだよ!」と、気の強そうな男は我を忘れるように胸ぐらを引っ掴んだ。
ひ弱な男は恐怖に怯み、地面に崩れ落ちそうになりながらも言葉を紡いだ。
「いや…僕も必死に…アンタと違って身体を張っていたんだ、頼むから信じてくれ…。」彼の声は次第に涙ぐんだ色が強く混ざっていた。
「はぁ?俺がもっと強い奴と組んでたらこんなことにはなってないんだよ!
なんだよ制限時間半分以上使って二人で8ポイントって」
指を緩めることなく、鋼の皮膚を持つ男は冷ややかな視線をひ弱な男に投げかけた。
「お前が持ってるポイント、全部俺に渡せ。それで不公平だった分を埋め合わせるんだよ。」
強引なその要求にひ弱な男は言葉を失い、怯えた表情を浮かべた。
力と恐怖の均衡が掛け合わされる中、獅子王アーサーは森の影からその様子をじっと見つめ続けた。
ひ弱な男は恐怖に打ち震えながらも、鋼の皮膚を持つ男に必死に訴えかけた。
「時間はまだある。協力し合えば、二人で予選を突破できるはずなんだ。お願いだ、もう一度、考えてみてくれないか。」
鋼の皮膚を持つ男は、苛立ちを隠し切れない顔で相手を睨みつけた。
彼の怒りは頂点に達し、まるで湯気を立てるような勢いで、
「お前みたいなやつと組んで何になる!俺はもっと強い仲間がほしかったんだ!」と叫ぶ。
その時、獅子王アーサーは森の中から二人の様子を静かに見つめていた。
彼の黄金色の瞳は、状況を冷静に観察しながらも、ひ弱な男の勇気ある説得を内心で応援していた。
しかし、状況は悪化する一方だった。
鋼の男はついに怒りが頂点に達して、拳を固く鋼化させて振り上げた。
「お前にはもう頼る価値もない!」その拳がひ弱な男の方向に振り下ろされる瞬間、彼は恐怖で目をきつく閉じた。
しかし、次の瞬間、彼は衝撃を感じなかった。恐る恐る目を開けると、そこには獅子王アーサーが立っていた。
獅子の牙が露わになりながら、手のひらでで鋼の男の拳をしっかりと受け止めていたのだ。
彼の周りには、燃え盛るような赤い毛並みが力強く光を反射していた。
「君たちはもっと賢くやるべきだ。」獅子王アーサーはカエデの勇者的な口調で語りかけた。
「協力すれば、予選を突破することも可能だろう。それが難しいことなんかじゃない。」
しかし、気の強そうな男は彼の言葉を無視し、苛立ちを隠さずに睨み返した。「何きれいごと言ってんだ!もう時間もないんだよ!」
戦闘が始まった。鋼をまとった彼は、豪快な拳を次々と打ち出した。
獅子王は滑らかな身のこなしでその攻撃を躱し、回避するたびに森の葉が舞い上がった。
互いに一歩も譲らないその戦いは、まるで森の中の嵐のようだった。
獅子王アーサーはその攻撃を何度も受け流しつつ、大地に足を踏みしめ、彼に向かって毅然と語りかけた。
「僕たちはみんな、予選を突破するためにここにいる。大切なのは、互いの力を信じることだ!」その声は、森の木々を静かに震わせた。
しかし、鋼の男の耳には届かない。彼は怒りのままの攻撃を続けた。
獅子王アーサーも、次第に余裕がなくなってきた。
鋭い拳が空を切る音を耳にするたびに、彼は俊敏に動き、回避し続けるにも限界を感じ始めていた。
周囲には風が唸り、葉が舞う。
その中で、獅子王アーサーはついに決断を下した。
戦いを終わらせるため、彼は全身に気を集中させ、一瞬の隙を狙って素早く動いた。
鎧のような拳をかわし、一気に鋼の男の体に強烈な一撃を加えた。
ガツンと鋼鉄を打ち付けるような音が鳴ったが、鋼の男はぴんぴんしていました。
すぐに鋼の男がこぶしを繰り出し、獅子王は何とか受け止めることができましたが、背後に飛ばされてしまいます。
「予想外の硬さだ。。さてどうするか」
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