第7話 初陣に向けて

朝起きてリースに礼を言い『ミミック』を出ると、街中にはたくさんの人が行き交っている。

今日は太陽が眩しく輝くいい天気だ。


今の所持金は4000G。昨日をやり過ごすのに1000Gの支出で済んだのはかなりラッキーだ。リースさんマジ感謝。


それでも、今後の生活をしのぐのに十分な額ではないので、安定した収入を得られるようにしなくてはならない。それにはやはり、クエストをこなすのが1番効率的だろう。


低級の魔物くらいなら、ある程度装備を整えれば俺でも戦えるであろうということを朝リースから聞いた。

リースは最近まで冒険者として魔物討伐を行っていたらしく、そういった有益な情報をたくさん俺に与えてくれた。リースさんマジ感謝(2回目)。


んで、俺は早速装備を整えるために武器屋に入った。


「結構色んな種類の武器があるんだな・・・」

そう感心していると、店主が声をかけてきた。


「いらっしゃい。うちの装備は最高級だぜ。」

やけに筋骨たくましい店主だな。強盗に入られることはまずなさそうだ。


「初心者におすすめの剣と、防具一式はないか?」


それならこれらが手頃だろう、と鉄製の剣や防具を

商品棚から数点選んで持ってきてくれた。


うん、ざっと値段を見た感じ今の所持金で足りそうだ。武具の良し悪しは俺には分からんし、素直にこれらを買っておこう。


「これ全部買わせてくれ。」


「お、気前のいい兄ちゃんだ。全部で3000G、と言いたいところだが、2000Gにまけてやる。」

ガハハ、と男らしく笑いながら店主は言った。


まじか、この世界の人たちは親切すぎやしないか……?まさか周りが俺に親切になることが俺の特殊能力だったりしてな。


会計を済ませ外に出て、買ったものを早速装備して

みた。


「重いな・・・」

予想はしていたが、かなりの重厚感がある。


ま、ようやく冒険者らしさが出てきたって感じだな。俺はそのままギルドへと足を運んだ。


―――相変わらず人が多いな。冒険者の皆様、昼からお勤めご苦労様です。もう俺もその一員だけど。


張り出されているクエストを見る。

まだ朝なので、昨日確認したよりも多くのクエストが残っている。初陣だし、簡単なクエストがいいだろう。というか、俺はまだEランクだから難しいクエストは受けられない。


お、これなんかいいんじゃないか…?

『ランク:E 内容:スライムを倒した際に得られるスライム液を15体分採取する。』


ランクも最低だし、スライム狩りとかいかにも簡単そうだしな。にしても、スライム液って何に使うんだろう……。ま、いいや。


俺はクエストが書かれている紙を剥がし、カウンターへと持っていく。


「こんにちは、昨日ぶりですね。クエストの受注ですか?」

昨日と同じ受付のお姉さんが言う。


俺ははい、と言ってから冒険者カードとクエストの紙を手渡す。


「承りました。期限は本日の夕刻までです。」


お姉さんは頑張ってくださいね、と微笑んでくれ

た。やる気出てきたぞ。ほんと、俺は単純な省エネ野郎だ。


お姉さんに軽く会釈をして、俺はギルドを出た。

さ、やる気満々なうちに目的地へと急ごう。

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