第3話 冒険者ギルド

しばらく東の方へと足を進めていると、先程遠くから見えた建物の近くに到着した。


どうやら俺が見た景色は街の裏側らしく、南へ周って街に入る。


「おお、これは中々だな.....」


遠くからでは見えなかった街のあまりの広さに思わず声を漏らす。

とんでもない辺境の街かと思っていたが、意外と人口は多いらしい。

多くの建物が聳え立ち、まるで商店街のようだ。


色々な店の看板を見てわかったことだが、不思議とこの世界の文字を俺は識字できるらしい。

なるほど便利な設定だ。


とりあえず、『ギルド』と書かれた建物へと入る。

以前読んだラノベでも、最初は主人公がギルドで冒険者登録をしていたからな。


ギルド内にも、外と同じように多くの人間がいる。

真っ昼間だというのに、熱心な冒険者の多いこと。


見渡すと、奥のカウンターに座る若い女性がいるのが見えた。

冒険者登録の手続きは、あのカウンターで行えるのだろうか。


「すみません、冒険者登録をしたいのですが。」

「新規登録の方ですね。こちらの用紙に必要事項をご記入ください。」


『冒険者新規登録用紙』と書かれた紙を手渡される。

異世界で初めて話す相手がギルドのお姉さんか.....

まあ、俺の冒険はこんなものだ。


用紙の記入を終え、提出する。


「ええと、ヤサカ トオルさん、ですね。」

お姉さんはどこか混乱した様子だ。この世界じゃ俺の名前珍しいんだろうか。

「冒険者名は トオル にしておいてください。」

と、俺はフォローすると、お姉さんは得心したようだ。

こちらが冒険者カードになります、と金色のメッキを施されたカードを渡される。

カードを見てみると、『ランク:E』という表記があるのがわかる。


「この、ランクってなんですか?」


「ランクとは、冒険者ランクのことで、A〜Eの5段階に分類されています。クエストをこなすことで

冒険者ポイントが溜まっていき、EからD、DからC

というように昇格することが可能です。」


なるほど、ランクを上げるにはクエストをこなす必要があるのか…


ギルドのお姉さんが続けて言う。


「またギルドのクエストの難易度も同じように5段階あり、冒険者ランクと対応しているため、

自身のランクを超える難易度のクエストを受注する(例えばランクCの冒険者がランクBのクエストを受注する)ことはできません。

つまり冒険者ランクを上げることで、より高難易度のクエストを受注できます。」


ふーん、高難易度のクエストの受注には相応のランクがないとダメなのか。

まあ、そこまで難しいクエストを受けようとも思わないし、ランク上げに神経質にならんでもいいか。

何より、面倒くさいし……


お姉さんに礼を言いカウンターを離れ、透はクエストが張り出されている掲示板の方へと足を運ぶ。


―――どんなクエストがあるのかしばらく見てみたが、俺のランクで受けられるものが残ってなかったので、俺はギルドを後にした。



「ふぅ……。」

ギルドを出て、付近のベンチに腰掛けて冒険者カードを眺めていると、小さな少女に声をかけられた。


「ねえ、お姉ちゃんを一緒に探してくれない?」


めんどくせえ……

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