狂人どもの姫

不定形

第1話 最恐

 ダンジョンが現れた現代。混乱期を乗り越え、低下しまくった評価を与えられた探索者は、ダンジョン内で配信をする、ダンジョン配信者の活動によって評価をひっくり返し、探索者は子供がなりたい職業ナンバーワンになった。

 マナーが悪い探索者は更生させたり、資格を剥奪するなど、様々な対応して減らして行った。しかし、そんな現代でも、危険な人物は存在する。

 そう言う人物は、ネット上で書き記され、注意喚起がされている。そんな中で、探索者を管理する探索者協会から通常されるはずもない、注意喚起がされている人物が三人いる。

 東叉郎あずまさろう。160センチほどの細身の体型と、それに見合わない暴力性を持ち、幾度として刀で他者に損傷を与えかけた。

 リリー・ホワイトライト。モデルのようなスラリとした体型と、残虐性を持ち合わせている。変態的な遠距離攻撃の腕を持ち、仲間や他の探索者に当たるかどうかと言う攻撃を何度も行っている。

 あきま。一般男性のような見た目をしていふが、すぐに異常者だとわかる瞳をしている。改名して『あきま』と名乗っており、その以前の経歴の一切が不明である。桁違いな効果の回復魔法を扱い、それを駆使して拳で戦うカイブツ。『死んでも10秒以内(蘇生リジェネーションが効果があるギリギリの時間)なら擦り傷』などと言う危険な思想を持ち、何度も数多のパーティメンバーを廃人にしてきた。故意でもなんでもなく、自信過剰な者達のみであり自業自得な結果であったため、許されている。(死ぬより前に回復できたことは見ないこととする)


 この三人は、S級危険人物とされている。もし見かけた際は、近づかず、気付かれないようそっと離れることを推奨する———————


——————だってよ。ひでぇ言い草だぜこれ」


 ここは、ダンジョンによる動乱、ダンジョンパニックによって、今はもう誰も住んでいない廃都。その中でも、まだ人が住める形をした家の中。無理矢理引っ張ってきたインターネットを使い、東叉郎は刀を抱え、自分達に関する記事を読んでいた。


「私たちは、まあビビり達が警戒するのはわかるけど、アキについては意味がわからないわ」


 弓、魔法杖、パチンコ、銃、その他様々な遠距離武器の手入れをしていたリリー・ホワイトライトが呆れたように呟いた。


「死んでも生き返らせてくれたんだから、文句なんてないでしょうに」


「そんなのどうでも良いけど、次はどこに行く?」


 高くもなく低くもなく、軽いわけでも重いわけでも、細いわけでも太いわけでも引き締まってるわけでも貧弱な訳でもない……まさに『一般成人男性』と言う言葉が似合う体。そして似合わぬ整った顔立ちをして、しかし一度見た者を誘い込み、逃すことのない深淵のような瞳を持った、あきま(改名済)が言い放つ。


「んじゃあ、ついでにここ付近のダンジョン攻略するか」

「ええー?モンスター飽きたんだけどー」

「頑張った分ご褒美が豪華になると思うけど」

「たしかに!じゃ、さっさと行きましょ」

「現金やなぁ」


 魔物大氾濫スタンピードで魔物に奪われた土地を、モンスターの殲滅という形で、たった三人でその日のうちに奪い返した彼らは、ついでとダンジョンを攻略し始める。普通なら、国を挙げなければ対応できないことを簡単にこなす彼らは、世間からは『最強最恐』と呼ばれていた。

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