第2章・ロデベリス帝国革命 編
010:独立
僕が18歳になった日に、王城へと呼ばれていた。
そしてこの日、僕はカプリバ王国にて大将軍の位を授与される事になっている。
「貴殿、アラン=アントワーヌ=アインザックをカプリバ王国々王ディラングォ2世の名において、大将軍の位を授与する」
「はっ! ありがたき幸せ!」
僕は国王から直々に大将軍の証である黄金の勲章を、いただき深々と頭を下げて敬意を表す。
一通りの授与式が終わったところで、国王はいつものテンションに戻って普通に喋り出すのである。
「本当にカプリバ王国を出ていくのか?」
「国王陛下には恩をいただきましたのに、このような不義理をしてしまって申し訳ありません………」
「別にそれは良いんだが、これからはどうするつもりなんだ? もう目処は立っているのか?」
10年間もカプリバ王国に世話になっていたのだが、これからは僕の一族復讐の為に国を出る。
そんな僕に国王陛下は、これからの事については決まっているのかと聞いてくる。
そこで僕は正直に考えている事を伝える。
「これから我々は軍を率いてロデベリス帝国に向かいます。そこで帝国の革命派と協力して、悪帝ロデベリス3世を暗殺します」
「ほぉロデベリス帝国って
「その通りです。既にエルサたちをロデベリス帝国に、忍ばせていますので私も直ぐに向かいます」
ヨーパロット大陸にある悪帝が独裁政治を行っているロデベリス帝国に行き、その帝国の革命派と協力し悪帝を打ち倒すと話した。
そして悪帝を打ち倒した後には、その国の王に僕自身が座るという計画である。
その為エルサとファビオを先に潜入させている。
僕も授与式が終わり次第、ロデベリス帝国に向かうと国王陛下に伝えた。
「アランよ……大きくなったな。初めて其方を見た時も歳にしては大きいと思ったが、今は何十万人も部下を従える大将軍か」
「それもこれも国王陛下が、今日まで心優しく見守っていただいたからです! この感謝は一生忘れる事はありません………困った事がありましたら、どうぞ私に報告をして下さい。どこからでも飛んで向かいます!」
「そうか。それはとても心強い限りだ」
僕は国王陛下に最後の挨拶を行なう。
もちろん会うのが最後というわけではないが、当分の間は会えなくなるので丁寧に挨拶する。
その挨拶を受け取った国王陛下は、どこか遠い顔をして寂しそうにしている。
名残惜しいが僕は深々と頭を下げてから国王の間を後にするのである。
部屋を出たところで「はぁ……」と溜息を吐いた。
「マスター。お疲れ様でした」
「ん? あぁ別に疲れたわけじゃないけど、いつになっても国王陛下への謁見は慣れないな………」
「マスターでも緊張する事があるんですね!」
「僕を何だと思ってるんだよ」
僕が部屋を出たところで女の子がやってくる。
この女の子は銀翼の夜明けで僕の近衛騎士をしている女騎士の《レジーヌ=マルシェフ》だ。
レジーヌは目や鼻に丸みがあり曲線的な顔立ちをしていて、完全な大人顔とは言えず幼さがある顔だ。
こんな可愛い見た目なのにエルサとかファビオに次ぐくらいの強さがあるんだよなぁ。
異世界ってのは顔だけで判断できないわぁ。
「マスター、もう外に馬車を用意してあります。船の手配も港で準備万端です!」
「そうか、手際の良い準備をしてくれてありがとう」
「いえいえ! マスターの為だったら、当たり前の事ですので褒められる事では!」
皆んなやる気があって良いね!
仕事がテキパキできる人は好きだ。
その仕事の内容に応えるような行動をしないと、上に立つ人間として失格だな。
とにかく今はロデベリス帝国に向かうか。
僕はレジーヌの案内で外に停まっている馬車に乗る。
そして船が手配されている港に向かって出発する。
馬車の中で僕はレジーヌから地図と一緒に、革命派がいる街の書類を受け取るのである。
その内容を見ていないとロデベリス帝国内で、何かあった時に部下を集められないからだ。
んー悪帝っていうと、どれくらいの悪帝なんだろ。
前世にも独裁者がいたけど、革命運動が行われてないところもあったよな?
もしも革命すら起こさせてもらえないくらいの弾圧を受けているのなら、難しい戦いになるだろうな。
「先に潜入してるエルサとファビオは、革命派の代表たちと話し合いをする為に行ったんだよな?」
「はいっ! マスターが着く頃には話がついているかと思いますので着き次第、作戦を実行する事ができると思いますよ!」
「それなら僕が行くのを少し遅らせて良いな。ちょっと寄りたいところがあるんだよ」
「寄りたいところですか?」
僕はレジーヌに、これからの予定について確認したところで少し寄りたいところがあると伝える。
そこに寄る時間があるのでスケジュールを、少しだけ変えてもらう事にした。
「寄りたいところって、どこなんですか?」
「レジーヌは知らないと思うけど、僕の知り合いで船乗りがいるんだよ。ソイツらを僕のギルドに勧誘したいと思ってるんだ」
「船乗りですか? マスターが、そんなに欲しいっていうくらいの人材なんですか?」
「まぁそれなりに見込みのある人間たちだよ。それにこれから鍛えれば、もっと伸びる可能性が十分にある」
僕がそんなに飲めるのかとレジーヌは驚く。
これから国を乗っ取って国王になるからには、船や海の知識が十分にある人材を囲んでおきたい。
その為それが寄りたいところである。
僕としては貿易を制する者は、この世界を制すると言ってもおかしく無いと思っている。
そんな風に考えていると馬車は港に到着する。
そして船に乗り込むと、僕がいう方向に船を回して貰って例の漁船のところに行く。
そこは近年では無人島となっている島だ。
「こ ここにマスターが求める人材がいるんですか!? ここって海賊が多いっていうスポットじゃあ………」
「確かに海賊が多いところだろうね。そもそも僕がスカウトしたい人材は海賊の船長だしさ」
「えっ!? スカウトするのが海賊の船長っ!?」
これから向かう無人島は海賊たちが根城にしている島で、地元の漁師たちは気をつけるように言われている。
そんなところに行くのは、僕がスカウトしたい人材が海賊船の船長だからだ。
それを聞いたレジーヌは声を出して驚く。
まぁ確かにギルドに海賊を入れるのは、他がそんなにやっている事では無いから当然か。
しかし海賊だからと優秀な人材を、見逃すっていうのはギルドマスターとして二流以下だろう!
僕はルンルン、レジーヌは警戒中。
そんな状態で海賊島に船をつけると、レジーヌと共に島へと降り立つのである。
すると分かりやすく海賊たちがやってくる。
そして気がつけば海賊たちに囲まれる。
レジーヌは猫が警戒しているのかと思うくらいに、シャーシャーッと威嚇している。
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