Celistical Sky
夏乃あめ
1 Ouverture(序曲)
1-1 King's main chamber.(国王謁見の間)
1797年4月第1週。
──王国議会室。
聖職者・貴族・平民の3身分の代表が王に召集され、国の問題を討議する議会、
議場の最高層の中央に国王が
そして最下層に議員が
議員たちは机の下に設置してある承認の赤ボタン、不承認の青のボタンを議長の
「形式とはいえ、自分が招集しておいてなんだが、全く退屈だと思わんか、
国王は
「陛下、でしたら議会など不要では。ご希望とあればいますぐにでも議場もろとも
「ふっ、実に
堅苦しい儀式が始まる合図かのように、再度厳かに響き渡ったベルの音は、荘厳な雰囲気を醸し出す。
「議案番号665番号。賛成多数により可決。』
議長のガベルが振り上げられたその瞬間、議場の右手側中央より、すなわち第二身分の貴族席の方から
「国王陛下。どうか
話を
「オルロフ伯。議案書以外の突飛な発言。
議長の
「ならば、陛下。ここに
何事かとざわめく議員たちとは反対に、
「メルシー伯。構わぬ、そこで読み上げよ。」
「申し上げます。──“国王陛下におかれましてはますますご
My Majesty
カイエン・クローム"」
会場内は突然訪れた嵐のように激しくざわめいた。王国一、いやこの世で一番の剣技を極めぬいた
国王は冷静に議場を見つめていたかと思うと、誰もが
「
国王の
国王はさらに続ける。
「──我が弟、アルトワ公。
国王の視線は、右側の5番のボックス席に向けられていた
場内は再びざわめく。国王が公式の場で女性をファーストネームで呼んだのだ。前例のない出来事。
5番のボックス席の緋色のビロードのカーテンが重々しく開けられる。
「ご指名ありがとうございます、陛下。
その後の先には、
束の間の沈黙を破ったのは、またしても国王の声だった。
「議長、これにて閉会。構わぬな。」
慌てた様に、議長は閉幕を告げるガベルを鳴らし、閉会を宣言する。国王は議場に背を向けながら、片方の口角を上げ、不敵な、
「自ら好んでバケモノになりたいという、全く
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