第5話

それから数日後。


俺の地元では、毎年夏の終わりに行われる大規模なお祭りがある。


その祭りには地元の人はもちろん、県外からもたくさんの人がくる。


日本の中でも有数な花火大会であり、数万発の花火が打ち上がるのだ。



普段は田んぼに囲まれ、闇に包まれるような漆黒の空で小さな星たちが静かに輝いているような田舎なのだが、この日ばかりはまるで夜が来ないのではないかと錯覚するくらい空が明るくなる。



俺は地元の人間として、毎年欠かさずその祭りに参加している。





「舞夜くん、今年も冷夢れいむたちとお祭り行くの?」


「いやー…冷夢たち、今年はみんな彼女と行くんだって。一人だけぼっちの俺はいけないやw」


「そうなんだ…」


「静夏は?誰かと行くの?」


「え、私?いや、私は……」



祭り前日の部活帰り。


俺と静夏は、2人で田んぼ道を歩いていた。



「あの、さ…あんた、行く人いないなら…一緒に行ってあげようか…?」


「えっ?」


「嫌ならいい!!けど、あんたがなんか可哀想だから、さ…」


「なんだよそれー。……まあ仕方ない!今年はお前と行くとしよう!」


「なっ…何よそれ!酷いなあ…」


そう言いながらも口元に溢れる笑みを抑えきれていない静夏を見て、俺も思わず釣られて微笑んだ。



(今年の祭りは、いつもより更に明るくなりそうだ)


そう思いながら、俺たちは家路についたのである。

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