第3話

「……はっ……はっ……はっ……」


(5秒……あと5秒……!)



8月末の夜9時。


俺は家の前に広がる真っ直ぐな一本道を、ひたすら走っていた。



「………っっああーー!」


腕につけた時計が、1キロ到達の合図を鳴らす。


画面に記されるタイムは2’50”…


(いや遅っ!!!…けど、前より5秒縮める目標は達成したからいいか……)


俺はゼエゼエと喉を鳴らしながら乱れる呼吸を整え、そんなことを考えていた。


(あーーあっつ……全身から熱が吹き出しそうなくらい暑いわ……。流石に1000✕5のインターバルはキツイなぁ…しかも最後は全力で走っちまったし…)



自己流の決して質が高いとは言えない練習をこなし、軽いストレッチをした後に俺は家に戻る。


水分補給をして体を少し休め、シャワーを浴びて自室にこもる。


(よし……切り替えて勉強だ!)



俺は、本業である勉強も夜にならなきゃやる気が出ない。


毎日午後7時に部活の練習が終わり、その後9時代に自主練をし、疲れを取ったあとに11時から勉強を開始する。


すると就寝時刻は2時を過ぎることなんてザラにある。


その分、授業中は爆睡タイムだ。



(授業は聞いてないけど、ちゃんと家で夜に勉強してるから、成績はいいもんな!)



昼間の教室はエアコンがあるといえども35人も敷き詰められているので、暑くて仕方ない。


それに節電節電煩くて、設定温度は28度より下げられない。


おかげで勉強なんて集中できないのだが、夜は例のごとく涼しいから勉強も捗る。


俺は今日も、こうした理由から完全夜型の生活をするのだった。

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