第2話
「
8月の半ば、夏休み中の練習。
熱を持つ空と沢山のシューズに踏みつけられるアスファルトが、互いの青さを主張し合う競技場。
その真ん中でマネージャーの
「仕方ないだろ。俺の自主練のメインは夜だからな!」
「意味分かんない。夜にレースなんてしないでしょ…。日中の暑い中の試合に慣れなきゃ意味ないよ?」
「そうかな?……まあ、別に俺は大会で勝ちたいとか思ってないからな……」
陽炎で歪むブルーのタータンを見ながら言う俺に、静夏はまた呆れたような溜息をつく。
陸上部の強豪校に通う俺は、背が高くて体の線が細いという理由で長距離を専門にしている。
タイムが上の方であればあるほど駅伝のメンバーに抜擢されるのだが、俺は最もタイムが遅いため、競技人口の少ない競歩に回されているのだ。
確かに静夏の言う通り、普通の大会は日中にある。
夜に開催される大会になど、俺は出たことはない。
だけど…
「やっぱりほら、夏って基本何してても暑いけど…夜だけは涼しいだろ?だから、涼しい夜のうちにしかできないことをやりたいんだよっ」
ウインクをして親指を立てて言った俺を見て、静夏は「頭おかしいんじゃないの」と言って去って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます