第3話
この時期の江戸は地方から流れてくる無宿人達のたまり場だったのだ
そのような無宿人達はいわゆる故郷を捨てて来た者達だから新規巻き直しの意味でも本名は捨ててしまう
また本名を名乗っていると過去がばれてしまい色々都合が悪かった
この時期幕府は人返しに力を注いでいなかったが無宿人とわかると人返しをされる可能性があった
伊八もそのような者達と思われていたからいかにも幇間のような通称も疑問ももたず受け入れられていた
さてその伊八 看板芸者がうつつをぬかすほどの美男であったことはとくにかことわっておかなければならない
まっ結局高値のはなの人気芸者も美男には弱いのだ
美人ほど 私男の方は容姿ではないなどと期待させることを言うがそれはリップサービスだと思って欲しい
さて伊八の美男ぶりだが幇間にしてはいい男と言うレベルではなかった
よく役者のような男前と言うがそれとも違っていた
その美男ぶりは伝説にででくるヤマトタケルやはたまた源氏物語の登場人物がもし出現したらこのような容姿ではないかと思わず誰もが思ってしまうような造形だった
何よりも目鼻立ちはただ整っているだけではなく
何かドラマを語っているような光を放っていた
目は少し黒目がちだが何か遠くを見つめているような深い眼差しを常にたたえていた
まあ あえて言えば立派な修行を終えて高い地位に登った学僧のような落ち着きと威厳を持った眼差しと言ってもいいだろう
その眼差しは少し寂しさをたたえていた
なんかのセリフじゃないがその陰りが女子のハートわしずかみだった
また本来滑稽に見えるためにしている豆本田と言う小さな髷
あえて言えば子連れ狼の大五郎のような髷なのだが
その滑稽さまで伊八の美貌を損なわせることはなかった
あえて言えば全盛の真田広之が無精髭で登場してもまったく無精感じさせなかったという
あの感覚である
美しさと威厳と品格が滑稽さまで飲み込んでしまう圧倒的な美貌だった
そのとってつけたような名前もあり
誰もが伊八の過去を知りたがった
しかし伊八はまったくそれについて話さなかった
ただ寝てる時時々苦しむような顔をすることがあり
それが伊八の過去と何か関係があるのではと人々の興味を引き立たせていた
そして今日も寝ている伊八の顔は何か苦しんでいた
伊八の前に漆黒の闇が広がっている
それが本当の闇なのか
何か別の意味があるのか
伊八さえわからない
声がした
殿下もうだめです
ここは我ら内侍が食い止めます
この者とお逃げ下さい
声かした
さあ 殿下こちらへ
声かした
そなたはキョンサボク
まさかそなたもコムゲだったとは
声かした
我らコムゲが命にかえてこの漢城から逃げさせます
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