勘違いくんの無双日記

ぞーすい

第1話

 僕は自分に存在意義があると思っていない。

小学校3年生の時にいじめに遭い、それから学校には通っているものの基本的にボッチ生活を送っている。

そんなとても微妙な中学生活を終えた僕は高校に入学したが、それでもあまり変わらなかった。

元々、1人でいることの方が落ち着くからあまり気にしてなかったのだが、どうも無力感が無くならない。

そんな生活を送っていた僕は去年の春、『MGDワールド』というゲームに出会った。

このゲームは仮想の世界『エレメンタル・ワールド』で様々なことができる。簡単に言えば異世界だ。


 僕はこのゲームに出会ってからもう一つの世界としてもう一つの人生を送っている。


 『【認証番号:1009072638910pd】認証成功』

 『【生態番号:2090194759283m8】健康状態◎』

ログイン中……………………。


ふぅ、今日の予定は…。

紅魔の塔攻略か。


ログインして街にあるギルドに向かうと僕のパーティメンバーがいるのがわかった。


「エレグ!遅いわよ!」


この人は僕が入っているパーティのリーダーであるアリス・ドールさんだ。

年齢は19歳らしいが色々と発達が良くて大人な雰囲気を醸し出している。

外見は綺麗な女性だが、実力は凄まじいものだ。

この世界にはランクというものがあって、D〜SSSで強さを表している。

そして彼女はその中でも約100人ほどしかいないというSSランクに到達している。

世界からも注目されている人だ。


「アリス。エレグが遅刻するのはいつも通り。」


眠そうにそう言うのはパーティの副リーダーであるシアン・リリィだ。

クールビューティーなロリっ娘である。

そして年齢は驚異の14歳。

その上ランクはSランクという十分に化け物みたいな強さを持っている。


「ははは!そう言ってやるな!エレグにも事情があるのだろう!」


そういうのはこのパーティの前衛であるライク・スレッドだ。

ランクはアリスと同じSSランク。

本人曰く身長は193㎝もあるらしく、筋肉質な体付きで爽やかイケメンという雰囲気だ。

ちなみに彼女持ちである。

チキショウメェェェェェ。


 とても豪華なメンバーに囲まれている僕はというと実はこのメンバーの中で1番弱いのだ。

ランクもCランクで飛び抜けて何かができるわけでもない。

だけどみんなは僕に実力があるなどと言ってメンバーに勧誘してきた。

どうやら僕以外の3人は現実リアルでも知り合いらしい。


「すいませんね。少しあっちでいろいろとありまして…。」


今は10月。

文化祭の準備で少し忙しいのだ。


「そう。次から送れる時はちゃんと事前に言ってね。」


「ありがとうシアン。」


そう言って頭を撫でるとなぜかシアンは頬を赤らめる。

いつものことなのに…なんでだ?


「さ、さぁ!今日は紅魔の塔の攻略をするわよ!」


その声で俺たちには気合が入る。


 紅魔の塔含めてこの世界にはダンジョンというものがある。

僕たちのような冒険者はそのダンジョンでドロップした魔物素材を売ってこの世界での共通通貨である『magicpay』を獲得している。

それだけ聞くと簡単そうにも思えるかもしれないが、実はそんなことはない。

低級の魔物素材はセットで売っても状態によっては『magicpay』にならないことがあるのだ。

例えばこの世界で1番弱い魔物とされているミニゴブリンは肝、爪、角をそれぞれ10個セットでだいたい10payにしかならない。

日本円に換算して約5円だ。

そのため、冒険者の数はとても少ない。

とは言っても、100000人ほどいるらしいが…。


 今回、僕たちが行く紅魔の塔は難攻不落として名高いS級ダンジョンである。

基本的に炎属性の魔物が生息していて、ドラゴンや特殊な個体も数は少ないが生息している。


「紅魔の塔。エレグがいるなら楽勝。」


は?


「ははは!そうだな!」


は?


「そうね。私もあまり緊張してないわ。」


は?


みんなの期待が重すぎる…。


そんな感じで紅魔の塔に入ったのだが…。


爆裂プロミネンス。』


爆裂プロミネンス。』


爆裂プロミネンス。』


爆裂プロミネンス。』


爆裂プロミネンス。』


爆裂プロミネンス。』


爆裂プロミネンス。』


爆裂プロミネンス。』


爆裂プロミネンス。』


という感じで10階までは僕の支援魔法で進むことができた。

意外と炎属性の魔物にも炎魔法効くんだな。


そして訪れた10階層。


扉を開けると…。



『グギャアァァァァァォォォォォン』


「嘘でしょ…。なんでまだ10階層なのにこいつがいるのよ!?」


「こ、これはまずいな。」


「うん、これはきつい。逃げるのが最善策。」



 そこにいたのはなんと、SSランクの魔物、紅魔龍レッドドラゴンでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る