飛縁魔

@syp_25

飛縁魔




人というものはどうしても欲深い生き物なんだよなぁと煙草をふかしながらふと思う。

例えば億万長者になりたいとか、地位や名声が欲しいとか好きなあの人の1番になりたいとか。大きなものから小さなものでどうしても「欲」を持ってしまう。知能を手にした恩恵、いや呪いなのかもしれないなと苦虫を噛み潰したような気持ちになる。

だから、俺が彼女を手篭めにしたいと願うのも望むのも過去に僕らの祖先が知能を手にした恩恵や呪いなのだと言い聞かせる。



彼女と出会ったのは大学1年生の春先の事だった。黒檀のように黒い艶やかな長い髪にキラキラと黄金色に輝いた瞼に長く下向きの眠そうなまつ毛と少し分厚めな赤い唇が印象的な女であった。紫織さんとは大学の喫煙所が出会いだった。時折見かけるよく分からない音楽を漏れ流しながら俯き気味にタバコを吸ってるそんな彼女を眺めるのが俺の日課だった。




みんなは毒蛇と言ったらどんな想像をするのだろうか。俺は紫織さんを連想させられるんだよ。狡猾で上手に生きて尚且つじわりじわりと毒で痺れさせて身動き取れなくさせていつの間にか腹の中にいるんだよ。どれだけ毒だと分かっていても薬物依存症の患者は薬物を追い求めるようにそう、こうやって俺の何でもないしょうもないパッとしない人生にじわりじわりと侵食して行ってダメになって行ったんだ。

どういうことが言いたいかって気づいた時には紫織さんの事を好きになっていた。もうそれはかなり、ゾッコン気味に。あの気だるげな目元もちょっと低いゆっくりとした方言の強めな喋り声も、見た目の色気の割にちょっと馬鹿っぽい身振り手振りも、大食らいで酒乱でニコチン依存症鬱病予備軍な所も全て全て目新しくて見飽きなくて愛おしかった。

俺の今までの19年間の人生というものはもう本当に可もなく不可もなくな人生だった。何となく周りと一緒にいて別につまらないわけでは無かった。友人と馬鹿やったりもしたし、有難いことに彼女だって2人居た。親だって過不足ないくらいちゃんと愛を与えてくれていた。だけども特筆的に書けるような人生の出来事がなかったんだよなァ俺には。なんというか存在しているだけ、ただなんでもない人生を送っているだけでこのまんまのらりくらりと過ごしてじわじわと大人になっていつか結婚したりするんだろうなぁとふんわりと想像していた。わかりにくいとは思うけども要するにつまらない人間なんだよ俺という存在そのものが。退屈でつまらなくてそんななんでもない日常にふと見つけた没頭できる異常な程に興味の惹かれるものだった。



「君はよく私の事を眺めているが、見てて面白いかい私は」といつも困り気味の眉毛をさらに下げて困ったような顔をしながら突然声を掛けられるようになった。

「え、いや……そんなに見てましたか?」「そうだね、春先くらいかな。私が喫煙所に来る度に一瞥してタバコを吸い終えていたはずなのにもう一本取り出して吸っていただろう。私が1人で来る時も友人とだべりながら吸っている時もよくこちらを見る子だなァと思っていた。気になるなら話しかけてくればいいのに私から話しかけずらいオーラでもあったのか?」「そういう訳じゃ、」「じゃあどういう訳だい?同じ大学の女を視姦する趣味でもあるなら別だけども」そう言いながら彼女はおどけたように笑う。「いや、視姦って……確かに僕も声を掛けず目で追いかけるのは少し気持ち悪かったかもしれないですが流石にそんなに犯罪者予備軍ではないです。」「そうか、であれば殊更気になるな。何故私のような女を眺めていたのかを」「いやもうそんなの普通に可愛いなこの人って思っただけですよ。」何を言わされてるんだ俺は。今まで声を掛けずにまるで美術品のような扱いをしていたものになぜ私を眺めると責め立てられてる気分になりながら自分の思いの丈をぶつけざるを得ないこの状況に冷や汗が止まらない。キョトン、とした顔をした後に大きな声で彼女は笑った。「君は面白いやつだな。少し趣味が変わってるんじゃないか?もっと可愛らしい女性は居るだろう。こんな年中喫煙所通いの女を目で追うのはやめなよ」「趣味趣向って人それぞれだと思いますよ。あくまでも俺は可愛いと思ったし、それを否定から入るのは良くないと思いますよ。折角、そう綺麗なんだし。」「ありがとうね、君は良い奴だな。前々から興味は惹かれていたのだが今日でさらに君の事が気になったよ私は。名前はなんて言うんの?」「慧太、ですね。佐々木慧太、1年生です。」「そうか、慧太君ね。覚えておくよ。私は紫織、北野紫織。よろしくね」

紫織さんから話しかけられて俺と紫織さんは喫煙所で出会いよく話すようになった。



そこからはトントン拍子に連絡先も交換して、車の免許を持っていない紫織さんに足にされてよく出かけることが増えた。

「慧太、夏だ。花火をしよう。私は線香花火が大好きなんだよ」

「君の地元は六戸町なのだろう!!!実家に向かう途中に紅葉している木が沢山あるんじゃないのか!!紅葉を見に行こう、イチョウでもいいな。」

「慧太、今日は白鳥を見に行かないか。平内町には白鳥の飛来地があるらしいよ。白鳥を見たあとにラーメンでも食べに行こう」

「寒い、鍋でもやらないか。君も辛いものは好きだろう私の家でチゲ鍋でもやろう」

「鮫の方まで向かって星でも見に行かないか?」

「君はろくな食事を取らないな!!!ご飯を作る、金は一銭もいらないから食べてくれ。いつも車を出してくれるお返しだ今日は」

「慧太」「今日はこれをしよう」「お腹が空いた」本当に自由な人で振り回されてばかりで、でもそんな自由気ままな猫のようにしなやかにそしてキラキラとした瞳をこちらに向ける紫織さんが愛おしかった。

「君も今年で20だろう。常々非喫煙者の前で煙草を吸うのは申し訳なく思っていたが君も煙草を吸えばいいのに。」「身体に悪いじゃないですか。」「君のよく食べるジャンクフードも身体に悪いと思うのだが?」「嗜好品と食の趣味は違うと思いますよ。」「それもそうだがあんなに塩分量のある食事を撮っているのに今更健康被害を語るのは無理があるんじゃないかな?私が君の家で料理を振る舞うことが無ければ君は自分から野菜を取ろうともしないじゃないか」「あァもう五月蝿いな。吸いますよ吸います、1本だけですからね。」「物分りが良くて良かったよ」「僕が紫織さんに勝てないことを分かっているでしょ。」

イタズラが成功した子供のような笑顔でタバコを差し出してきた。ラッキーストライク、レギュラーの煙草だ。「口にくわえて、そう。火をつけるから吸い込むんだ。吸い込まないと煙草は日がつかないからね。」ジッポライターのフリントをシャリン、と鳴らして火をつける。馴染み深いオイルの燃える香りがする。吸い込みながら火をつけると同時に大きくむせた。

「っえ!?紫織さん毎日こんな苦しいものを1箱も吸ってるんですか?貴方は絶対に頭がおかしいか極度の被虐嗜好の方だ」「ははは、昔からの癖だからね。今はもう無くてはならない存在だよ」「これだからニコチン依存は……」


何度吸ってもむせ返ってそれを見る度に大きな声をあげて笑う紫織さんに少し苛立つ。「ごめんね、無理して吸わせてしまって。まだまだ君も子供だということだね」「別に無理では無いですけど。」「むせてるのに何を言ってるんだ」「そりゃ初めての煙草なので仕方ないじゃないですか。吸えるようになるまで根気よく煙草を吸うことにします」「やめな、身体に良くないよ」「今更それあなたが言うの……?」「君は3食の食事を辞められるかい?」「いいえ…」「君はジャンクフードが大好きだろ?」「そうですね…でもそれとこれとは…」「身体に悪いことには変わらないよ。違うのは栄養があるかどうかであって私にとっては4大欲求の1つなんだよ」とカラカラと勝ち誇ったように笑う。どうして貴方はこう1枚も2枚も俺より上手なんだよ。









紫織さんは付き合おうなんて事は言ってはくれなかった。これだけ一緒に居てこれだけ身近な関係でこれだけの時間過ごしても口約束だろうと「慧太、付き合おうか」といつもの調子で俺なんかよりもよっぽど男勝りな紫織さんなら言ってくれるかもしれないと淡い期待をしていた。




「慧太はそういえば私のことをジロジロと見てた割にはあまり下心を感じない。」「いやいや、ジロジロって…たしかに綺麗な人だな仲良くなりたいなって気持ちが強すぎるがあまり視線に出てたかもしれないですが、仲良くもない女性に下心剥き出しで視線を注ぐのは如何なものかと思いますよ。」「大学生の男なんてみなそんなものじゃないか?」「いやまぁ否定も肯定も出来ないですが最初にも言ったじゃないですか俺。紫織さんの事は彫刻品とか美術品と同じような目で見てるって。」「性的欲求は湧かず、好奇心

や研究対象のような目で見てるということか?」「いや、うーーーーーん…まあそれに近いものかもしれないですね。」「私の事が好きなのに?」「す、…いやまぁ、そー…っすね…」「好意と性欲は紙一重だと私は思うよ。人間の本能だ。恋というものはあくまでも交尾相手、言うなれば子孫を残すにあたりやっぱり選定は大事だし優性遺伝子を見つけるためにする行為なんだと思うよ私は。」「思想強〜…まあ一理ありますね。だけど精神的な、こう本能だけじゃない部分も人間にはあると思いますよ。その方がロマンチックでいいじゃないですか」「ふん、ものはいいようだよ。」「あと俺も別に紫織さんに対して何も思わないわけじゃないですよ。失礼に値しそうなんで一応訂正しておきますが。」「まァさすがにわかってるよ私もそこまで馬鹿じゃないからね。」「好きな人に触れたいなんてか当然思うわけで、俺もまだ19.20の男であって」「めちゃくちゃにしたいとか思うんだ。」

「め……いや、あ、うーん。紫織さんってマジで言葉にオブラート包まないですね。」「肯定と受け取るよ、その対応は。」「否定は出来ないですからねそりゃ。」「してみるか?」

ブチンと脳みその血管がブチギレるような感覚に陥る。俺がどこまで包んで詰めて奥底まで沈めて沈めて気づかないようにしていたと思ってるんだ。手を出したら終わりかもしれないとかこの関係も紫織さんも全て無くなるかもしれないとか怖かったとか全く知らないくせにわかってないくせに軽々といつもいつも乗り越えてズカズカ踏み寄って踏み躙ってめちゃくちゃにして。



気づいたら俺は紫織さんを組み敷いていた。めちゃくちゃに。後ろ向きで枕に顔を埋めて腰を突き上げている紫織さんの後頭部を乱雑に鷲掴みして枕に押し付けて無理くり乱雑に腰を振ってあ"とかう"とか訳の分からない人の言葉では無い音声を出している紫織さんの肩に噛み付いて「い"っ、だぃやだ、やだ!!!やだ、い"だぃ……ん"む、」「うるせぇ、静かにできないんすか。」「ごめ"、や"、あ"……」食いちぎれそうなくらい噛みつき回して痕を残して、まるで俺の俺だけのだと誇示するような跡を付けて噛んだ後の噛み跡を親指でグリグリと押して絶対に俺の事を俺が着けた痛みを忘れるなよと心中穏やかではない状態で願いながら何度噛んでは泣き所に押し込んではまた痛いであろう二の腕や肩に噛み付いての繰り返し。 別にこれをやって何かあるわけじゃないし意味があるかどうかで言えば明言しにくいが、ただ俺がいた痕跡をこの毒蛇みたいな女に残しておきたかった。いえば戦歴と言えば聞こえがいい。












程なくして紫織さんは行方不明になった。





半年くらいはこの関係が続いていた、毎度毎度俺が紫織さんを手荒く抱いて何度も何度も噛み付いては口を離し、噛み付いては口を離しの繰り返し。彼女の「俺がつけた」痣や噛み跡を見ては悦に浸っていた。なんせ他にそれを知り得る人間は居ないからだ。痛いと涙を浮かべて俺に縋りながら顔を赤らめて苦悶と快感の狭間の表情を見るのはすごく気分が良かった。いつも俺よりも1枚上手の紫織さんが俺のせいで弱る姿が嬉しかった。「やだ、彗太よして」と俺を止めようとする手を無理やり押しのけて組み伏せて支配欲を満たしていた。心底好きだった、心底支配していたかった。半年が過ぎて唐突に紫織さんと連絡が取れなくなった。大学にも来なくなった。彼女もなかなか自由気ままな人間だったので、単位を落とさない程度に学校をサボっていたから「サボんないでください〜」なんて連絡をポン、と送って講義を受けた。

紫織さんから返信が来る事は無かった。別に彼女が丸1日返信が来ないことなんて多々あったし心配するには値しないとは思っていた。だが3日も返信が来ない事は流石に無かったんだよ。大学にも来ない、喫煙所にも居ない、返信は来ない。底知れぬ不安で頭の中はいっぱいになった。紫織さんの家に行くことにした、少し気持ち悪いな俺はと思いつつそれでも心配が勝っていたからだ。二階建ての木造建築の少し古びたアパートの2階の奥に彼女の部屋がある。コツコツと歩を進めながら色々な原因を考えた。事件性や、体調不良で寝込んでいるのではないかとか、また彼女の気まぐれな一人旅かとか、それともとうとう俺が嫌われたとか。色んな可能性を考えながらぐるぐるとまとまりようが無く脳みそごと吐き出しそうな気持ちになりながら鍵を開ける。

「空いてないか部屋。」

冷や汗がだらだらと流れる。ゆっくりと扉を開け部屋に入る。扉を開けた瞬間ふわりと香るお香の香り、靴棚の上に飾ってある一輪挿しには枯れつつある菊の花。キッチンを抜けてリビングに入る。どうか変わり果てた姿の紫織さんと対面はしたくないなとバクバクと鳴り止まない心臓を押さえ込みながらベットルームにはいる。家主だけが消えたかのように部屋は変わり映えのないままだった。とりあえず想定していた最悪の事態は免れたとしても紫織さんの安否は変わらず不明。ベランダには簀子をひいてその上にキャンプ用チェアとサイドテーブルがあり毎朝ぼやっとタバコを吸いながらココアにマシュマロを溶かして糖尿病まっしぐらであろう飲み物を嗜んでいた幻影を追う。持ち主の居ない椅子はなんだか物憂げに空を眺めていた。そこに腰掛け紫織さんに再度連絡を送る。「紫織さん、もしも俺が嫌われようなことをしたなら謝ります。嫌なことがあったなら俺が聞きます。旅に出てるなら一言言ってください。生きた心地がしない」一息付き空を眺めながらけたたましく鳴り響くサイレンの音と赤いランプを尻目に吸えもしないタバコに火をつけるのだった。














2日後、紫織さんの死体が見つかった。

死因は練炭自殺による一酸化炭素中毒との事だった。彼女のお気に入りの黒のミニクーパーはしっかりと目張りをされて燃え上がっていたと。大量の睡眠薬を大好きだったサッポロの黒ラベルで流していたとの事だ。あまりにも紫織さんらしいチョイスでなんだかなぁと思う。どうしてあなたは最後の最後までそんなに自由で我を貫くのか。普通死ぬ時飲むお酒なんて高い酒だって良いじゃないか。それなのにサッポロの黒ラベル500mlなんであまりにも紫織さんらし過ぎるんだよ。

彼女は大量の睡眠薬を飲んでいたおかげか苦しんで死んだ形跡は無かったと初めてお会いした紫織さんの母親から伺った。


あっとういう間に葬式は終わり火葬もおわりすごく呆気なく彼女の形はなくなり骨壷に収まっていた。死に顔は拝めなかった。損傷が酷く復元が難しい状態だったらしい。



紫織さんが帰ってくるような気がして見つかるまでの丸二日はずっと紫織さんの家で過ごしていた。講義も全部休んでひたすらに家で待ち続けていた。結局はその努力も虚しく彼女は二度と帰らぬ人になったんだけどね。


そろそろ大学にも行かないと単位もある、悲しみに溺れているばかりでは紫織さんに「ふん、彗太は本当に泣き虫だね。もう少し辛抱できるいい男になるんだな」なんて言われてしまう。学校の準備も兼ねて1度家に帰ることにした。





家主不在だった我が家のポストはパンパンに膨れ上がっていた。やらかしたなぁと思いつつそれらを全てかき集め1Kの相変わらず手狭な部屋に入り机の上にバサりと置く。1枚1枚仕分けてさっさと捨ててしまおうと思いはがきやらちらしやら奨学金の支払い催促やらと仕分けをしているとこれらには似合わない花の描かれている封筒がある。切手もついていない。誰だこんなの送ってくる人なんて、

ひっくり返し差出人を見るとしおりとだけ表記されていた。











「いきなり居なくなってしまって申し訳はない。きっと彗太は優しくて心底私のことが好きで居なくなると寂しくて心が張り裂けてしまうくらい心配していると思う。なぜ居なくなったのかどこに行ったのかなんてものは正直さほど重要では無いと思うんだよきっと。君が聞きたいのは多分「なぜ死んだのか」じゃないかなと。

私はあまり素敵な人生を送っては来なかったんだ。親に恵まれていた訳でも才能がある人間だったわけでも見目の良い女な訳でもない言うなればいらない子、と言っても問題ないような人間なんだ。そんな中にたまたま面白い男と出会ったんだよ。こんななんでもない私をぼや、と眺めて目があっては逸らす。それが何度も続けば私もやはり物覚えが悪いにしても記憶には残るんだね。この世に希望が無さそうな眠たげな目はとても印象的だったよ。ふと面白くなって話しかけてしまったんだよね。そこから驚くほど同じ時間を過ごしたな。夜中から朝方にかけて花火をやったのはきっとずっと覚えていると思うな私は。朝焼けと線香花火の対比がすごく美しかった。海辺で酒を飲みながらわいわいと花火をやって良い分気持ちよくなって静かにこれから何をしたいあれをしたいと語り合いながら線香花火をして、ごめんね何も叶えられなかったな。それだけが心残りだ。嘘をついた本当はね、もっとしたい事彗太と見たいものは沢山あった。だけどね私は、怖くなったんだ。君の独占欲や支配欲を受ける相手がいつか私でなくなるかもしれない不安感。愛おしそうに私を見つめる瞳が私以外の女を映すことがあるかもしれないことも、この「最上級の幸せ」が無くなってしまうかもしれない事が何も無かった私には何よりも恐ろしかった。だから死ぬ事にした。不思議と怖くはなかったし順調に物も調達出来た。私の最上級の幸せを最上級のまま終えようと思った。彗太と過した時間は私にとって人生の頂点だったよ。もうこれ以上は無いと思った。幸せだった、本当に。だからいつかの事が無いように私の人生の中でピリオドを打つ。これでもう私の幸せが低下することは無いしきっと彗太も私のことを忘れないだろうね、本当は君と家庭を築いて幸せに過ごすなんて夢見た瞬間もあったけど、ごめん。私は強くは無かったみたいだ。あぁそういえば大事な事を言い忘れていたね。

好きだったよ、ずっと。」

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