第9話 あこがれのひと~みうらじゅん~
憧れの人、いますか?
恋愛的な意味ではなく
尊敬はもちろん、目標としているとか、この人みたいになりたいとか。
あるいは追いつきたいとか超えたいとか。
憧れといっても、その形は人それぞれですが。
では、私の憧れの人はというと、何人かいます。
今回はその内のひとり、あの人のお話をして参ります。
それは......みうらじゅんです。
大好きなんですよね。
昔から。
いわゆる「サブカル」の人なんですが、今でいうサブカルとも違う気がします。
元々は漫画雑誌『ガロ』で、漫画家としてデビューするも、その後は独自の路線で様々な形でオモロイモノを提供しています。
みうらじゅんの世に送り出したモノは実に幅広く、色々なモノがあります。
一般的にもっとも有名なところだと『マイブーム』と『ゆるキャラ』ではないでしょうか。
今でこそ、みんな当たり前に使っている言葉ですが、生みの親はみうらじゅんなんです。
ゆるキャラなんか、みうらじゅんが着目する以前は、地方に埋もれたガラクタみたいな存在でした。
『SM』に市民権を与えたのが団鬼六なら『ゆるキャラ』に市民権を与えたのはみうらじゅんかもしれません。
もちろん、一般的に浸透していないモノも含めたら、他にもたくさんあります。
もらっても困る土産物『いやげもの』
とんまな祭り『とんまつり』
街中で該当する漢字を見つけて集めて完成させる『アウトドア般若心経』
......等々、挙げたらキリがありません。
そこで!
今回はみうらじゅんの著作に絞って、その中から三本ご紹介いたします。
『青春ノイローゼ』
こちらは、1999年12月5日に双葉社から刊行された、みうらじゅんの自伝的エッセイです。
取り上げているモノは実に幅広く、俳優の岡本信人や小倉一郎、落語家の桂米朝、他にも海外のロックミュージシャンからインドからポルノ映画から学生時代の恋愛まで、盛りだくさんの内容となっております。
なお、「取り上げる」といっても、その視点が我々凡人とは
それは、一風変わった奥深い、独特で名状しがたいものです(笑)。
ただこれだけは言えます。
(個人的に)これは名著です。
是非こちらの著作をお読みになって、みうらじゅんの深みにハマってみてはいかがでしょうか。
『とんまつりJAPAN』
こちらは2000年7月31日に集英社から刊行された、みうらじゅんの旅エッセイです。
旅エッセイといっても、もちろんただの旅行ではありません。
みうらじゅんが全国各地の「奇祭」を巡る、異色の旅エッセイです。
まず目を引くのが「奇祭」というパワーワード。
なんとも妖しい興味をそそられますよね。
奇祭とはなんぞや?
実は、我が国では、全国各地で次のような祭りが伝統的に行われています。
・笑い祭り(和歌山県)
・尻振り祭り(福岡県)
・牛祭り(京都府)
・
・うじ虫祭り(愛知県)
・へトマト(長崎県)
上記は、こちらの本で取り上げられているものの一部です。
一部ですが、すでに異様ですよね(笑)。
その異様な祭りに、みうらじゅんが迫っていく......面白くないわけがありません。
はい。
読むしかない!
『アイデン&ティティ』
こちらは1992~2004年にかけて刊行された漫画シリーズです。
当作品は、2003年に映画化もされています。
田口トモロヲの初監督作品で、主演は銀杏BOYZのボーカルの峯田和伸。
さらに脚本はクドカンこと宮藤官九郎が手がけており、ROCKな映画となっております。
私は銀杏BOYZも大好きだったので、この映画はどストライクでした。
なお、映画化されているのは原作の一部で、原作漫画ではもっと長い物語が展開します。
では肝心の内容はというと、簡単に言うとバンド物語です。
ロックミュージシャンを目指す主人公の、涙あり笑いありのヒューマンドラマです。
この作品の面白い特徴として、ボブ・ディランが登場します。
といっても幽霊のような存在としてですが。
ボブ・ディランは、1960年代から活躍する、シンガーソングライターです。
彼の詩に心を動かされた人間は、果たして世界中に何人いるのか。
そんなボブ・ディランが、悩める主人公の前にたびたび出てきては、主人公に助言を与えます。
助言といっても、すべてボブ・ディランの曲の歌詞なんですが。
この辺りの演出は、とりわけ音楽好きの人間にとっては「わかるわぁ~」となる所かもしれません。
『みうらじゅん』というと「独特なオモロイモノ」をイメージする人が多いと思います。
それは間違っていません。
しかし、それだけでは決して語れない奥深いモノもあります。
その典型のひとつが、この『アイデン&ティティ』なのではないでしょうか。
以上になりますが、敬愛するみうらじゅんについては、まだまだ語り足りません。
またどこかで、改めて書きたいと思います。
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