第13話 理想の用紙《解説編》
メイ「いやー危なかったよ竜花ちゃん!」
ヤカタ「メイが助けなければ、大変なことになっていたわね」
メイ「でも、どうしてスマホで助けを呼ばなかったんだろ?」
ヤカタ「呼べなかったのよ」
メイ「え?」
ヤカタ「竜花さんは理想の用紙で、『静電気を発しない体』を手に入れたわ。それが問題だったの」
メイ「静電気が、問題?」
ヤカタ「スマホには指紋認証の機能があるわ。竜花さんのスマホにもね。指紋認証の仕組みはいくつかあるけど、その中の一つが、静電容量方式。これは、人の体が発する静電気を利用した機能なの」
メイ「あっ、そういうことか! 竜花ちゃんの体は静電気を発しなくなってしまったから、スマホのロックを解除できなくなったんだね!」
ヤカタ「『汗をかかない体』にもなっていたけど、それも危険よね」
メイ「たしかに。汗って、体温を調整するっていう生き物にとって大切な役割があるもんね」
ヤカタ「自分が思い描く理想が、自分にとってのほんとうの理想の状態とは限らないのよね」
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