第12話:神様もそれなりに忙しい。
ある日のこと、好彦とシナモンが暮らすアパートに神様がやって来た。
おネエっぽくて、どうもいい加減な神様。
来る早々好彦に色目を使う、あまり貞操感のなさそうな神様。
両性具有で男でも女でもどっちでも相手できるんだって欲張りな神様。
好彦を誘惑しそうになったが、シナモンの阻止で好彦は神様の餌食になる
ことはなかった。
それに神様は好彦のタイプじゃなかったし・・・。
「シナモン、神様ってみんな、あんなふうなの?」
「神様ってみんな男の性器も女の性器も持ってんの?」
「神様にもよるね・・・ミルフィーユ様って基本、落ちこぼれの神様だから」
「政治家や芸能人と同じで親の七光りで神様になった神様だから・・・」
「実力で神様になったわけじゃないからね・・・」
「しいて言うなら、セックスのテクニックを買われたのかな?」
「なにそれ?
「ミルフィーユ様はクリスマスだけ忙しくなるの」
「こればっかは好彦でもミリフィーユ様の足元にも及ばないね」
「なんで?」
「ミルフィーユ様が抱いた男と女の天使の数、ハンパない数だから」
「セックスのテクは百戦錬磨だから好彦も叶わないの」
「あ、勘違いしないでよ・・・私は大丈夫だからね、ミルフィーユ様とは
エッチしてないから」
「そうなんだ・・・あの神様そんなふうに見えないけど・・・」
「もうすぐクリスマスでしょ・・・ミルフィーユ様もその時期は忙しくなるの・・・」
「クリスマスは女性の天使は下界に降りてサンタさんのお手伝いしなきゃいけない
のね」
「そのためにミルフィーユ様は天使にやる気を出させるためにクリスマスの
前には彼女たちひとりひとりを気持ち良〜くさせるの・・・先払いのボーナス
みたいなもんよね・・・ちゃんと体のケアしてあげないと働かない子が出て来る
から、だからおチンチン使いものにならなくなるくらい頑張らなきゃいけないの・・・天使、たくさんいるからね」
「あ〜そうなんだ・・・羨ましい〜」
「なに言ってるの・・・好彦には私がいるでしょ」
たしかに、もうすぐクリスマス・・・。
天界での仕事が待ってるのに神様は相変わらず朝から好彦を誘惑していた。
「俺を誘惑しても無駄ですよ・・・それよりクリスマスの時期だけ俺と
変わってくれませんか?」
「なにそれ?・・・好彦ちゃん、あんた神様になろうっての?」
「神様はどうだっていいんです・・・クリスマスの時期だけでいいんです」
「いっぱい天使いるんでしょ?」
「あ〜そういうこと・・・でも好彦ちゃんには無理ね・・・女性の天使何百人
も相手できる?」
「え?そんなにいるんですか?」
「10人でも無理だな・・・いや3人でも無理かも、楽しそうだけど・・・」
「まあ、美味い料理でも量がありすぎると食べられないですからね」
「私は全部食べちゃうけどね」
「神様って意外と大変なんですね」
「そうなのよ・・・だからクリスマスに天界には帰りたくないの・・・」
「でもそうもいかないのよね・・・私がいないと天使ちゃんたち泣くから」
洗濯物を干してキッチンへ戻って来たルシエルが割って入ってきた。
「好彦と神様・・・エロい話で盛り上がってるの?」
「神様、好彦を誘惑しちゃだめだよ・・・そんなことしたら消すからね」
「あんた・・・神様を脅してどうすんのよ」
「シナモンちゃん、あんたこそ天界に帰って来てサンタのところに行きなさいよ」
「私はサプライズ天使だから、クリスマスは関係ないの」
「神様こそ帰れば・・・セックスしたがってる天使、いっぱい待ってるわよ」
「そうなのよね・・・まじで好彦に変わって欲しいわ」
「なに言ってるの・・・好彦は渡さないから・・・バッカじゃないの」
「あのさ、ふたりとも揉めないの・・・俺は今のままでいいよ」
「シナモンひとりでさえ手に余るのに・・・他の天使なんか・・・」
「手に余るってなによ、それ?」
「そう・・・そんなに私が手に余るなら天界に帰っちゃおうかな?」
「ダメダメ・・・今のは本心じゃないから・・・もうひとりぼっちはイヤだよ・・・」
「それ見なさい・・・私なしじゃ生きていけないくせに・・・」
「あんたたち、やっぱりヤキモチ妬くくらいラブラブよね」
「わたし、まじ天界へ帰ちゃおうかしら」
つづく。
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