スパンキングしたら、いつの間にか最強の秘密結社が出来上がっていた

影崎統夜

第1話・仕事は凄腕だけどプライベートはポンコツな四天王達

 世界人口の半分が特殊な能力・異能が発現する現代社会。

 最近では異能を使った危険な組織が日本の治安を悪化させているが、政府が打ち出した政策・魔法少女部隊のお陰で少しずつ鎮圧がなされていた。

 しかし情報が出ている第一級の危険組織・カーディナルは少数先鋭なのに魔法少女狩りを主にしており、政府は一層対策を考えているが……。


「ふふっ、やっぱり魔法少女アイツらはバカですねー」

「おいおい、またハッキングしてるのかブレイン?」

「もちろんですわ首領ボス


 日本の首都である東京・八王子市にある豪邸。

 その地下ではカーディナルの一員が働く地下部屋があり、白衣に白いスカートを履いた二十代前半の女性は、自慢の黒髪を触りながら口を開く。

 

「政府側もコチラを特定しようとしてますがこの程度ではわたしの足元にも及びませんわ」

「そりゃいいけど他の三人は?」

「ブラッド達なら魔法少女狩りに行きましたわよ」

「おおう……。アイツらにお願いをしたかったんだけどな」


 ガタリと揺れるテーブル。

 視線をブレインに戻すと、彼女は眼をキラキラとさせながらこちらにひざまづいていた。


「ボス! もし差しつかえなければわたしにご命令ください」

「う、うーん? でもブレインは引きこもり体質だよね」

「ごふっ!?」


 あ、なんか刺さった気がする。

 豊満な胸元を抑えて沈没したブレイン。どこか可哀想になるけど、彼女は顔を上げ頬を染めながら荒い息を吐いてきた。

 うん、どうみても発情してませんか?


「頭のネジが外れているやつに何を言っても無理か」

「ほんとボスはいい意味でサディストですわ!」

「そりゃどうも。でだ、ここは共有スペースなのにこの汚さはなんだ?」

「あはは……。えっと、ついお菓子を食べすぎました」

「せめて自分の部屋で食べろよ!?」

「ここで食べるのがいいんですわ!」


 こ、コイツ……。

 この豪邸はコイツを含む配下の四天王達が稼いだおかげで建てられた場所。それをゴミ屋敷レベルで汚すのは問題なので、彼女の前に立って少ししゃがむ。


「そう言って実際はお仕置きが欲しいんだろ」

「やっぱりボスにはバレてるのですね」

「そりゃお前とは付き合いが長いからな」

「流石ー。では、だらしないわたしにお仕置きをお願いしますね」

「えっと、どう考えてもお仕置きの雰囲気じゃないよね」

「ふふふっ!」


 ほんとコイツは怖いが躾は必要。

 そう思った俺はパイプ椅子に座り、白衣を脱いでラフな格好になったブレインを膝の上に乗せる。

 

「相変わらず大きな尻だな」

「それはボスがわたしに厳しくお仕置きしてくれたおかげですわ」

「ほんとコイツは……」

「ひゃん!? うう、いきなりは酷いですわ」


 自慢げにお尻を振るブレインに平手打ちを一発。

 スカートの上からだからそこまでダメージがないはずなのに、本人はいやらしい悲鳴をあげた。


 ただすぐにスカートを捲り上げストライプのTバックを前面に押し出してきた。

 彼女のお尻は昨日叩きたばかりで腫れが残っているが、本人は満足そうに笑う。


「それでは問題を起こしたわたしにお尻叩きのお仕置きをお願いします!」

「お、おう」


 今回だと平手二百と罰板パトル打ち二百くらいかな?

 甘くすると彼女達への罰にならないので厳しめに設定しながら、俺は心を鬼にしてブレインのお尻を叩き始める。


「きゃう!?」

「どうしてこうなったんだろうな?」


 表向きは都内の三流大学に通う学生で裏は悪の秘密結社。

 とんでもない二足草鞋を履いている自分に呆れながら、今日も首領としての働き……部下へのお仕置きに勤しんでいく。


 --


 ブレインへのお仕置きを終えた後、司令室に移動。

 真っ赤に腫れた自分のお尻を撫でているブレインは、涙目でコチラに抱きついてきたので軽く受け止める。


「お仕置きありがとうございました!」

「ブレインも頑張ったな」

「えへへ。あ、このまま寝室コースでも大丈夫ですわよ」

「調子に乗るなよ」

「ひぐっ!? もうっ、ボスは鬼畜ですわ」

 

 黒い鋼で作られた罰板で一撃。

 ブレインに抱きつかれた状態で叩きにくかったけど、彼女の腫れたお尻に直撃して悲鳴をあげた。

 その表情が可愛くて仕方ないが、今は虐めたい気持ちを抑えて頭を撫でていく。


「でだ、さっきまで何を調べてたんだ?」

「わたしが調べてたのはウチの敵対組織関係です」

「と、なると、天元組やローラン騎士団とかか?」

「その二つもありますが、最近力をつけてきた組織もあるみたいですわ」

「おいおい……それはやばくないか?」

「今ならともかく後を考えるとやばそうですわね」


 マジでどうするかだな。

 こちとらボスの俺とブレインを含めた四天王の五人しかいないから使える人員は決まってる。

 というか、他の三人は嬉々として魔法少女狩りに言ってるっぽいから実質ブレインしかいなくね?


「うーん、さっさと潰すか?」

「あー、相手組織の情報は匿名で政府に流しておきました」

「相変わらずはえーな!?」


 さっきまでの話は茶番だったのかよ!?

 まあでも超凄腕のハッカーであるブレインなら、この程度は朝飯前か。さっきまでだらしなかったのに、しっかり働いてくれるのはありがたい。


 ほんとコイツはすごいな。

 内心で喜んでいるとこちらの肩に顎を乗せているブレインは嬉しそうにフッと笑う。


「それほどでもないですわ。あ、でも、ご褒美ならデートを所望します」

「それはいいけどデートだと前みたいにブラッド達と喧嘩にならないか?」

「ふふっ、わたしが本気になればアイツらなんて雑魚同然ですわ!」

「と、言いつつフルボッコにされてなかったか?」

「ソレは言わないお約束、ハムッ!?」

「ちょっ!? いきなり耳を甘噛みするな」

「ハムハム、美味しいですわー」


 こ、コイツ、マジでいやらしい。

 というかこのままだと貞操の危機なので逃げたいが、ブレインがガッチリ抱きついているのでなかなか抜け出せない。

 

「いい加減離れないとアイツらが帰ってくるぞ」

「わたしは今を大切にしているので後は知りません!」

「おいいぃ!?」


 待って待って、このままだもまずい。

 ガチで離れようと力を蓄えたその時、司令室の自動ドアが勢いよく開き、漆黒の騎士鎧&黒剣の二刀流に黒い翼を生やした十代後半の赤髪ボブの少女・ブラッド。

 獰猛な笑みを浮かべた彼女が司令室の中に入ってきたが、すぐにその表情が固まった。


「おーす、ただいまボス! って、おいブレイン、そこの席はオレの場所だろ!」

「ボスの太ももはわたしの場所だし、仕事が終わったら報告しなさい脳筋のブラッド」

「オレは脳筋じゃねーよ! それよりもその腫れた尻はまたボスにお仕置きされたのかよ」

「それが何か? てか、アンタも昨日厳しくスパンキングされてたわよね」

「そ、それは……。まあ、オレの事はいいんだよ!」


 いいのかよ。

 ウチの四天王は揃いも揃って残念美少女だし、見た目はいいのに中身がぶっ飛んでる。

 ライオンみたいに飛びかかってきそうなブラッドとスカートをあげて臨戦体制に入ったブレイン。

 

 ここで一戦おっ始められるのはやめてほしい。

 自分の能力である鋼を作り出し二人を拘束しようとした時、次に現れた人物がブラッドを鞭で拘束した。


「あらあら面白いことになってるわね」

「お、おい、タナトス……。なんでオレを拘束するんだ?」

「わたしもなんで!?」

「このままだと話が進まないからよ」

「とりあえず仕事お疲れさん」

「いえいえー。あ、ファントムマスターの太ももは私の物よ」

「「コイツ!?」」


 シレッとブレインも亀甲縛りで拘束しとる。

 黒のラバースーツにジャケットの痴女スタイルの銀髪ロングの美女・タナトス。ウチの四天王の中では一番強く、実質のナンバー二であり基本的にはS


 タナトスはタナトスでやばいが他よりはマシなんだよな。

 ただ他の三人と比べるとまだ良心的なお陰でまとめ役としてはありがたい。

 

「後はエクシアだけどタナトスはどこにいるか知ってるか?」

「あー、あの子なら夜ご飯の買い出しに言ってるわよ」

「……魔法少女狩りの後に買い物ができるんだな」


 エクシアはしっかり屋だけと少し抜けてるんだよな。

 背中に冷たい汗が流れるが、今のところは組織的に問題はないのでこのまま続けていきたい。

 そう思いながら女王様みたいな視線を他二人に向けるタナトスに、内心ドン引きするのだった。


 

 

 

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