この気持ちはバレてない

umi

Side.A 友達として

 あなたの手から私に伝わる温かなぬくもりは、私の心を今日も浮足立たせるの。

 デート終わりに盗み見たあなたの横顔は優しい街灯に照らされて、1日の終わりには不似合いなぐらい美しいからどうしても見惚れてしまうな。

 でも、大丈夫。この気持ちはバレてない。

 

 「好きだよ」で終わるとバレそうだから、いつも「友達として」って余計な一言を付け足しちゃう。

 本当は今すぐにでもこの溢れ出しそうな思いをあなたに伝えたいのだけれどね。


 あなたといると無敵になれた気がするの。

 だって、あなたとの時間は本当に最高だから。

 それに話したい事が尽きないの。

 こんな相手は初めてだよ。 


 あなたが私にたくさんのお話をしてくれるのもとっても嬉しいの。

 あなたの信用を得られた気がするし、あなたの特別になれた気がするから。

 でも、あなたの吐露する言葉はとても繊細で、私が触れたら壊れてしまいそうだから、私はあなたに安心して欲しくてそっと隣に座ったの。


 それから、あなたには笑顔で居て欲しくて、あなたの前で私はたくさん笑ったんだよ。

 小さな事でも大きな事でも、あなたが一緒に笑ってくれればそれで良かった。

 あなたを幸せにする事が、私が貰った幸せのお返しになればいいなぁ。


 あなたは綺麗で優しくてとても素敵な人だから、きっと、私なんか居なくてもすぐに別の人が隣に並ぶんだろうなぁ。


 でも、私にはあなたが必要なの。


 ただの私の我儘わがままなのも、不器用な愛だってのもわかってる。

 この気持ちを伝えてしまえば、あなたが私を傷つけないように、そっと離れてしまう事も、あなたが私なんか相手にしてくれない事も知っているけれど、どうか今だけは、ただ、あなたの隣に居させてください。


 あなたが境界線を引かなくてもいいように“ちゃんと”これからも「友達として」好きでいるから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る