第13話♤二人で過ごす四度目のイヴ1

 私は不破が借りて住むアパートの一室で彼女と同棲していた。

 クリスマスの前日、クリスマスイブの金曜日。

 今年も色々あったなぁ……と一年を振り返っていると、正面のダイニングテーブルを挟んでマグカップでココアを啜っていた不破が欠伸を漏らしながら凝視していることに気付いた。

「な、なに……ゆうちゃん?」

「ううん、なに妄想してんのかなぁって見てただけ。ケーキ、食べないの今年?」

「妄想じゃなくて、今年を振り返ってたの。私は食べなくてもいいや。大晦日に奮発していっぱい食べるし、控えないと痛い目みるからね」

「ふぇ〜……そうぅ。のんちゃんの太ったは全然許容範囲だよぅ。羨ましいよ〜私はのんちゃんが〜!それはそうとさぁ、親とはまだ喧嘩中なん?」

「私は気にしてんの!嬉しくなぁい〜羨ましがられても〜!まぁ……うん。昔は……そりゃ嫌だとは思ってたけど、今はゆうちゃんが好きで相思相愛なのに。解ってくれない……」

「そぉっ……そう、相思相愛ぃいいぃぃ!?!?はぁ〜ああぁんんっっっ!!!のんちゃんが照れがらずにそんなことを言うまで育ってぇえ〜!!!私は嬉しいよ!!!私ものんちゃんが大好きだよっっ!!これからもずっとのんちゃんを離さないからっっ!!!」

 不破が立ち上がり身を乗りだし抱き着こうとしたので、両腕を出し、制した。

「好いてくれるのは嬉しいけど、その爆発した反応はキモいからやめてっっ!あっ……もうこんな。ゆうちゃん、そろそろ支度しないと遅れるよ。私ももう出るから。ささぁ、早くしないと置いてくよ」

「えぇえぇ〜〜っっっ!?まっ、まままっ……待ってよぅ〜のんちゃん!?もう行くの?離れたくないっ、のんちゃんの温もりをっ、匂いを噛み締め続けなきゃなんだよっっ!!」

「私も離れるのは辛いけど、行かないと。帰ったら、シてあげるから今は我慢してねゆうちゃん」

「そんなぁ〜〜!!うぅぅ……わぁ、わかった。すぅ、住めなくなるもんね……我慢する。着替えてくる」

 私は支度に取り掛かる彼女と離れ、玄関に向かい、スニーカーに脚を突っ込み、彼女に声を掛ける。

「ゆうちゃん、じゃあ行ってくるね。帰ったら、ゆうちゃんに私の全てを捧げるから頑張ってきなね」

「いってらっしゃい!うん……」

 私は彼女にいってらっしゃいのキスをねだられる前に出て、玄関扉を閉め、歩き出した。

 外気の寒さに身震いしながら、首に巻いたマフラーに鼻まで入れ、アルバイト先へと急ぐ。


 私も不破との営みを楽しみにバイトを頑張った。

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姉の友達がおもちゃにしてきます 木場篤彦 @suu_204kiba

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