第5話元住人

それから我々は浜岡さんに、このマンションの七階の住人と取材できないか尋ねてみたが、現在七階には誰も住人はいないという…。

「まぁエレベーターが使えないし、階数も高いからね…。だけどなら、一人だけ連絡先知ってる人がいるよ。」

我々は浜岡さんの知り合いで、マンションの七階にかつて住んでいた白樹しらきさんという方にアポイントを取り、明日白樹さんの自宅にて取材を受けてもらうことになった。

そして翌日、我々は白樹の家へ向った。白樹さんは御年七十六歳、今から三年前に件のアパートから今の家へ引っ越してきたという…。居間に通してもらい、我々は取材を始めた。

「では、取材を始めます。白樹さんは、あのアパートのエレベーターにまつわる話については、ご存じでしたか?」

「あぁ、エレベーターで七階へ行くと怖い目に遭うという話は聞いたことある。実際、あのマンションへ入居したてのころだったか……、家で酒を飲もうとエレベーターに乗ってボタンを押したら、辺りがもう真っ暗になって、すると目の前にワンピースを着た三つ編みの髪型の女性が現れてな、その女性が物凄く不気味だったんだ…。そこから何がどうなったのかは覚えておらん。」

これは白樹さん自身の体験談であり、彼はさらにこのエレベーターにまつわる話をしてくれた。


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