第2話

丘の上に立つ大きな柿の木の下。



 抱き合う男女の姿。



 高校の卒業式。


 皆が校庭で仲間との思い出に浸り、別れを惜しむ中、私は校舎の裏手にある物陰からじーっと身をひそめています。



 丘の上で2人の男女が、長かった恋愛ストーリーを完結させているのが見えて、私はそれを、遠目にぼーっと見守る事しかできません。



 今彼から告白を受けているのは、美吉空音みよしそらねさん。



 美吉財閥の御令嬢でわがままツンデレキャラ。


 少しツリ目で一見とっつくにくそうなキャラなのに、なぜか事あるごとに嫌味でつっかかりプレイヤーさんたちに絡んでいく。



 プレイヤーさんが近づけば近づくほど空音さんはツンで返し、それに根強く対応していけば、時折デレを見せてくれるようになります。


 他のキャラとの距離を縮めてしまえば、その時折見せてくれるデレの中の嫉妬がまた男性プレイヤーさんの心をくすぐり、それがいつしか、「空音いいな」と鷲掴みにしていく、"後出し愛"。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る