サークルクラッシャーまたゆるビッチちゃんが傷心ビアンに襲われる話(タイトル:叢雲と風)

宮ジ

第1話

 「ちょ、ちょっと待ってよ。え、マジで?」

 「なにが」

 ふーっ、と叢雲むらくもさんが白煙を顔面に向かって吐き出してきて、わたしは咳き込んだ。彼女はベッドサイドの灰皿に吸いさしのタバコを押し付け、わたしに馬乗りになった。

 「お前が言ったんだろ? へーきだって。なぁ、またゆるちゃん」

 「じょ、冗談じゃん! やっぱりわたしのこと狙ってたの!?」

 「別に。ただ、ムカついたから」

 叢雲さんはジェラピケのショートパンツから露出しているわたしの生足を、つつっ、と撫でた。その指先があまりに滑らかで、わたしは声を上げそうになった。

 男の人と、違う。

 「いいじゃん。どーせ男に好き放題させてんだろ。ちょっとはアタシにも良い思いさせてよ」

 「そんな……っ」

 首筋を舐められて、続く言葉を飲み込まされた。

 「一回痛い目見ればいいんだよ、お前みたいなやつは」

 それに、と耳元で囁かれた。ハスキーで、掠れていて、でも奥には女性らしい甘い揺らぎがある声で。

 「アタシ、ハカゼのこと、ちょっと好きだったし」

 「ば……っ、こんな時にズル────」

 キスされた。苦い味が一瞬したけど、ベロがすごい勢いでわたしのベロに絡んでくるから何も感じられなくて、途端に酸欠になって────頭がフリーズする。

 あ、やばい、なにこれ。

 これ、知らない────

 「もう男じゃ満足できねー身体にしてやるから、覚悟しろよ」

 舐められた首筋に、今度は噛みつかれ、犬歯を突き立てられた。普通にすごく痛くて、酔いが冷めそうだった。

 「ひぅ」

 「あれ、初めてみたいな声出しちゃって。おかしいな」

 いや、違うか。

 叢雲さんは凶暴な笑みを浮かべて、わたしを見下ろした。髪をかき上げて、血で赤くなった歯をむき出しにした。

 「女は初めてか」



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