この先突破しなければいけない壁は、どれくらいあるのだろう
リンクスでは7歳から10歳の3年間、子供に特定の学校で教育を受けさせることが義務となっている。子供たちはその中で礼儀作法の習得、およそ6科目の学問、社会契約、自然権の譲渡、そして魔界適性の向上に取り組む。
「大丈夫かな。ともだち、できるかな。」
入学式の帰り道、インベルは弱気になっていた。
「大丈夫よ。あなたはとっても優しいし、なにより笑顔がかわいいもの。仲良くなりたい!、と思った時は、にっこり笑って話しかければいいのよ」
「でも、そんなふうにできる自信がないよ。僕は子院に入ってなかったからみんなだけもう仲良くなってるかもしれないし」
「もしそうだとしても、インベルがひとりぼっちになることはないわ。だって、そんなふうに考えている子はあなただけじゃないもの。1年生はあなたの他に100人もいるのよ、」
カーナはいつもインベルを励ます時に、目線を合わせながら頬に手を軽く触れ、「大丈夫、大丈夫」と2回唱える。
「心から伝えたい言葉はね、伝わった!って、自分が感じられるまで言うのよ」
そう言って微笑むお母さんは、優しく温かい光を発する太陽のようだった。
でもその表情は、なにかにハッと気づいたかのように、すぐに厳しさを纏ったものになった。
そしてカーナは教育を施す。
「それと、学校ではいつも私たちが言ってることを忘れないでね」
「うん。わかってる」
2人は戒めるように言う
「剣と魔法は、人に向けない。」
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