上流から下流へ、少年から青年へ、丸みを帯びていく

インベルは、散歩が好きで、また散歩が得意だ。決まったルートを作らず、毎回新しい景色を見れるように、その時その時で気の向くままに道を行きつつ、来た道を記憶して、真っ直ぐ家に帰ってこられる。


3歳で散歩を初めてした時は、カーナと一緒に雑貨屋へ行って、その後狩場にいるサルトを迎えに行き、3人一緒に家に帰ってくるというものだったが、帰り道で疲れて眠ってしまった。


インベルの中で、その記憶がいつの日か心を温める思い出となった。そしてその頃には、1人で散歩に出るようになっていた。


子院に通っていないインベルには、友達などいなかった。そして、ほとんど毎日リンクスの東村を悠々楽々と歩く少年インベルの姿は、大人たちの間でも子供たちの間でも噂になっていた。


大人たちはインベルの安否を憂慮し、男児はちょっかいをかけるものが多く、女児にはそのミステリアスな雰囲気に惹かれるものもいた。だがインベルは誰に対しても当たり障りのない対応をして、孤高を貫いた。


そして現在、インベルは7歳。リンクス東初等教育少年学校に入る歳になった。



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