上流から下流へ、少年から青年へ、丸みを帯びていく
インベルは、散歩が好きで、また散歩が得意だ。決まったルートを作らず、毎回新しい景色を見れるように、その時その時で気の向くままに道を行きつつ、来た道を記憶して、真っ直ぐ家に帰ってこられる。
3歳で散歩を初めてした時は、カーナと一緒に雑貨屋へ行って、その後狩場にいるサルトを迎えに行き、3人一緒に家に帰ってくるというものだったが、帰り道で疲れて眠ってしまった。
インベルの中で、その記憶がいつの日か心を温める思い出となった。そしてその頃には、1人で散歩に出るようになっていた。
子院に通っていないインベルには、友達などいなかった。そして、ほとんど毎日リンクスの東村を悠々楽々と歩く少年インベルの姿は、大人たちの間でも子供たちの間でも噂になっていた。
大人たちはインベルの安否を憂慮し、男児はちょっかいをかけるものが多く、女児にはそのミステリアスな雰囲気に惹かれるものもいた。だがインベルは誰に対しても当たり障りのない対応をして、孤高を貫いた。
そして現在、インベルは7歳。リンクス東初等教育少年学校に入る歳になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます