フロウス -一輪の男の一生-
@Amanoru
それでも輝く星を綺麗だと思ってしまう
戦争が起きた。
人と人の、ありふれた戦争。
それが始まったのは3年前だった。
どっか遠くの国とどっか遠くの国が衝突したらしい。
でも、今、ここで、おれのお気に入りの雑貨屋も、何千何万回も行き交った愛着のある草道も、おれの家も、家族も、家庭も、全部燃えている、。
縋るものはなにもないし、正直そんなこともどうでもよくなって、冷静にしようもないことを考えながら、神に祈っている。
涙は流れているし、肌がぴりぴりして痛いし、短い間隔で響いている轟音が怖い。
おれは今、希望を求めているのだろう、こんな世界でも光り輝く、とびきりの希望を。
おれの希望。かわいい娘の����、ずっとずっと共に生きてきた妻、�����。
おれの希望はもうこの世界から失われた、おれの心に愛を与えてくれる光は、失われてしまったのだ。
この世界には、悪鬼が横行している。悪とは、生物から愛を奪うもの。
始めから、人はわかっていたのだ、人は生まれながらにして、悪であることを。
1つ2つだった悪が勢いをつけて周りも巻き込んでいけば、多くの愛を奪う。愛を奪われたものが、また多くの愛を奪う。奪うことでしか果たすことができぬ恨みに縛られたものは、鬼となっていく。
はじめて神を憎んだ。
おれも鬼になってしまおうか。
火花と灰の中から、一輪の花が這い出した。
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