練習問題2 に、句読点を付けてみた
スポットライトが激しく明滅した。光を忌避するはずの吸血鬼を名乗る彼は、しかし光を浴びる程に生き生きと目を見開く。
観客を煽りマイクを高々と掲げると、隣のギターが応えるように激しいスクウィールをし、そのギターの甲高い鳴き声はすでに正気を飛ばしている衆人環視の歓喜悲鳴と交じり合う。
そこに競うように重苦しいベースが激しく急なリズムを刻む。ギターの高い音を喰ってやろうという勢いで押し出てくれば、軽やかに流れるようなドラムが流れを攫っていく。目がこちらに向いたと思うやその軽やかさは鳴りを潜め、投げやりに叩きつつるように突き放すように大きく大きくなっていく。
その打撃音に悪魔のようなひび割れた重苦しい声がかぶさり、ドラムの音を飼いならすとその声に衆人は喉の痛みの限界など忘れ、声をひたすらに上げる。
その狂乱を気にも留めず、男は嘘のように甘やかな声でメロディを紡ぐ。その姿はセラフィムがごとく、精錬で潔癖であれほどにけたたましかった四角い箱の中はうっとりとその声にいざなわれた。
柵へと押し寄せていた者どもは正気を取り戻し後ろへとさがり、中ほどで息も絶え絶えになっていた私はやっと空気を肺に入れる事ができた。
彼の慈悲に感謝をしたが、音が全て消えた一瞬光が消えた。次の瞬間目が眩むほどの光が舞台をつつみギターが、ベースが、ドラムが、あらん限りの音をあげ彼が再びこの世を割かんがごとくの割れた声をあげる。
人々は再び波を作り、前へ前へと乞うように手を挙げ彼を求め前進する。私の足は浮き上がり、そこで視界は暗転し意識はぷつりと途絶えた。
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