アンノウンズ

好塚 津蔵

第1話 ミステイク

 「ねぇ未希、一緒に帰ろ?」

「うん、別に良いけど。」部活終わりに2人の女子高生が話していた。「今日は使用人さんの迎えないんだ。珍しい。」「うん!今日は未希と一緒に居たくて〜。」午後6時、2人は「天望(あまのぞみ)高等学校」のテニスコートから出て更衣室で着替え、6時10分に校内から出た。「平 未希」と「菅原 望来(みく)」、共に高校2年生である。「ねぇ?少し寄らない?」20分ほど歩いた後、望来がバーガーショップを指差して話しかけた。注文を済ませて、取りに行く際にコーヒーのみを頼むスーツ姿の男と目があったが、特に気に留めなかった。席に着き食べ始めるタイミングで未希が自分のトレイに乗っている2つのバーガーの包の内一つを望来の前に置いた。「コーヒーとデザートしか頼んでなかったから。私の奢りだけど、余計なお世話だった?」「あぁ〜ありがとうございます!ちょっとうっかりしてて。」その後、未希もバーガーを食べ始め、未希が完食、望来が半分ほど食べたタイミングで未希は疑問に思っていた事を質問した。「今日の目的ってただ一緒に夕飯食べることじゃないでしょ。」「んっ、えほっ、どうしてです...?」不意の一言に驚いた望来はむせながらも返答した。「だって、なんか元気ないし、食べるペースも昼飯のときからなんか遅かったじゃん。誤魔化したみたいだけど。」「............。」3秒ほど沈黙した望来は小声で「少し待ってください...。」と言い、右腕で目の周りを隠しながら、左手でコンタクトレンズを両目から外し、カバンの中のケースから眼鏡を取り出してかけた。「実は本日はコンタクトレンズの調子が悪くて目が痛かったんですよ〜!」と声を張りながら涙ぐんだ目で未希に伝えた。「そ、そうなの?な、ならいいんだけど...。」親友のあまり見た事のない姿勢に動揺してしまい、タイミングを見失い、また望来が食べる速度を上げたことでこれ以上は聞き出せなかった。午後6時50分、バーガーショップを出た彼女達、「本日はありがとうございました〜!また明日学校で会いましょう。じゃあ、、、サヨナラ。」「うん、またね。」手を振って2人はそこで別れ、望来は駅に行くために反対方向に歩き始めた。しかし、やはり気が気でなく、しばらく立ち止まって考え、「やっぱり話を聞こう。」と考えバッと後ろを振り返ると、そのまま走り出したが、直後に人とぶつかってしまった。尻餅を着いた未希、(うそ、全然気配なかったのに...でも非があるのは完全に私だしな....)そう思いながら立ちあがろうとすると相手の男性が手を伸ばしてきた。「大丈夫?」「あ、ありがとうございます...。」立ち上がった未希が彼の顔を覗くと、先ほどコーヒーのみを注文した男性であった。「あ!さっきの...!なんでまだここに!?」「では、用事があるので失礼します。」とその男性はそそくさとその場を離れた。「あ、望来探さないと...!」と未希は急いで望来を探し始めた。男がその後右手首付けていた腕時計を見ると、[カースウェーブ 微量に検知]と画面に表示されており、それに気づいた男も去っていった未希を追跡し始めた.....。

 しばらくして少し離れた所の路上駐車してあるシルバーの車にガラの悪い男に強く手を引かれて連れていかれる望来を目撃した!「嘘...!望来....!」その直後、その光景を見ていた男はすぐさま懐から小型の銃のような物を取り出し、周囲に見えないようにシルバーの車に何かを発射した。その後すぐ走り出し、駅の駐車場に止めてあったバイクに乗り発進した!ヘルメットの画面には先ほど発信機を取り付けたシルバーの車の居場所が浮かび上がっている。「こんな街中での撃ち合いは本来双方避けたい所だからな、アイツが余程の馬鹿じゃなくて良かった。」追跡されたシルバーの車は街の中心街から離れたところにある廃ビルに止まっていた。「正面に止めたら犯人に気付かれるな....。」そう言って彼はバイクをビルからは見えない離れた場所に止めた。「大人しくしてろ!!!」ビルの最上階では男が望来を重いドラム缶に縄で縛りつけていた。「ん〜〜!」口にガムテープを貼られて話せなくなった望来。犯人は奢ったような態度で、「これで金は全部俺のモンだぁ!!あのムカつくテラーの野郎がよぉ!!」と近くに転がっていた机を蹴飛ばした。「そういや、これ使わなかったなぁー。」と犯人はアタッシュケースから中型の銃のような武器を取り出した。

 タクシーを捕まえて、先ほどの車を何とか追跡し、潜伏した付近までやってきた未希はビルの下に丁度到着し、警察に通報した。名前や取り扱い説明書にさっと目を通して、「Explodeかー!まさにイケてる俺にピッタリの能力だなぁ!!!」と言い、廃ビルの窓から道路を挟んで反対側、2時の方向にある飲食店に照準を合わせ、「爆発の能力なんだ、ガス爆発と大差ないだろ!」と言い、トリガーを引こうとすると...!入り口のドアが勢い良く「ガチャッ!」と開いた!「誰だぁ!」と咄嗟に銃をドアに向けて構える犯人。「警察だ、お前を逮捕する。」「警察だとぉ!?」焦った犯人はそのままトリガーを引いた!赤いマグマの様な弾丸が男に向けて勢いよく飛ぶ!「Strength、オン。」その瞬間男の髪と目が薄く青味がかった!そして男はそのまま1m跳躍し、弾丸を避けて犯人に高速で近づいた!「来るなぁ!!」「ビシィッ!!!」男は犯人の手の甲をはたき銃を床に落とした。「クソオオオォォォォ!!!!!」逆上した犯人が銃に手を伸ばした瞬間、男は自らの銃を相手に向け青い光線を発射した!!!「ぐがッ」と言葉にならない声を上げ、男はそのまま気絶した。男は縛られた望来に近づき、口を塞いでいたガムテープを剥がした後、拘束を解き始めた。「ふぅ...ありがとう、真(しん)。特命の警察って本当に強いのね。」「いえいえ。恐らくこれから先の方が大変です。リーダーが居るはずですから。」と解いて居るうちにある事に気が付いた。ドラム缶の蓋が開いているのだ。慎重に真が中を覗くと...中には大量の爆薬が入っていた!!周囲を確認すると、先ほど男が弾丸を発射した地点からドアまで真っ直ぐに赤いマグマの様な液体が残ったままだった!しかも少しずつ膨張していっている!急いで望来の拘束を解いた真は犯人と犯人が所持していた銃を背中に担ぎ、望来をお姫様抱っこした。そして再度部屋を見ると液体は更に真っ赤になり今にも破れそうに膨らんでいった!「ギリッ」犯人の銃のダイヤルをスペルモードからショットモードに切り替えた男は少し下の方から斜めに、空に向かうようにして窓ガラスに向けて射撃した。窓ガラスは着弾した箇所から弾けるように砕けた。男が犯人と望来を抱えた状態で勢い良くジャンプした直後、ビルの屋内で大爆発が起こった!「ドゴオオオオオォォォォォォォン!!!!!!」爆風の勢いと合わさり、反対側のビルの屋上に華麗に着地した真達、一方廃ビルの下で警察と通話をしていた未希は爆音で耳を塞いだ、しかしその頭上に瓦礫が降る!真は着地し直ぐに自身が犯人との戦いで用いていた銃を取り出し、ショックモードからブレイクモードにダイヤルを切り替え、出力を調整して先ほどの廃ビルに向かって放った!「ギュウウウウウン!!」青い光線が着弾した後、瓦礫や粉塵、炎ごと、廃ビルは大部分がブラックホールに吸い込まれたかの様に、破壊され消滅し、球体状に抉れた。未希の頭上で瓦礫も消滅し、事なきをえた。再び髪と目を青く変化させた真は自身の鼓膜は触れずに、気を失った望来と気絶させた犯人の鼓膜は耳のあたりを触る事で回復させた。目を覚ました望来に対して「そろそろ私の仲間達が事後処理にきます。それまで人に目撃されない様ここに居てください。私は付近の目撃者の記憶を消去します。」と言い、そして彼は銃をブレイクモードからデリートモードに変え、しゃがんで今いるビルの屋上の地面に銃口を突きつけ、チャージを開始した。「む....!」下の方に耳を抑えた未希を発見した真は銃をそのままの状態にしたまま再び跳躍した。一方下の歩道では「何今の爆音!?」「廃ビルが破壊されてるぞ!」「何か人が飛んで行かなかった?」「動画撮ろ〜」と人が集まって騒いでいた。未希の目の前に着地した真、お互いに顔を見て先ほどぶつかった人物であることを思い出したが、スッと耳に触れて鼓膜を治して真はまた望来のいるビルに飛び立っていった。「待って.....!」未希が手を伸ばした時、銃から半径1kmほどの範囲に渡り電波が発射された!爆発した時間以降に撮られたビデオ、写真は消滅し、野次馬達の直近の記憶も消された。バッジを付けている真と望来、そしてある1人を除いては....。

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アンノウンズ 好塚 津蔵 @Tsuzoo07

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