生きて花実を咲かせたい

あゆうみあやの

嫁ぐ前、『  』助け

第1話

「大丈夫ですか?」

 暑さに負けてよろけそうになっていた老女に声を掛ける。

 小走りをしたためか、振り袖が舞う。

「え、ええ。大丈夫よ……でも、ちょっと休まないとだめね」

「お家はどこですか?」

「すぐそこの、丘を登ったところよ」

 街を抜けた丘の上には一軒家がポツンと建っている。

「お荷物、お持ちいたしましょう」

「ええ。でも、悪いわよ。それに、あなた、そんなにキレイな身なりで、どこかにいくのでしょう?」

「ここで、思い残しを作ってしまうのは嫌なので」

「そう? じゃあ、お願いするわ」

「ありがとうございます」

「あなた、お名前は?」

「日野冴(ひのさえ)と申します」

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