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2023年現在僕は19歳、自宅から専門学校に通っている。
申し遅れたけど、僕は新島源というしがない若者だ。
幼馴染みの小笠原桃ちゃんと交際を始めてはや3年の年月が流れたのだがいまだ清い体、つまりは童貞である。
それ自体はどうでも良い。早く卒業したからといって勲章が貰えるわけでもないし貰えても欲しくないし。
桃ちゃんの親御さんからも自分の親からもキツく「大人になるまで手を出すな」と言い付けられている。僕はそれを遵守しているに過ぎない。
しようと思えばいつだってできるんだ。うちの母は決まった時間に店に出るからその間は自宅が空だし家は隣だし。18歳を超えてるんだからラブホテルだって入れるんだ。デートでちょいと入るくらいなんてことはない。
でも桃ちゃんとお母さんの気持ちを尊重したいからできないんだ。万全を期しても妊娠する可能性がある。
言うまでもないけど、今桃ちゃんを妊娠させたとしても僕は生活力も無ければ人の親になる心構えも出来てないし彼女を幸せにできない。
一緒に暮らせて可愛い赤ちゃんが居れば僕は幸せだけど…それが桃ちゃんの幸せとは限らないし、妊娠をきっかけに結婚に持ち込むには僕らはまだまだ若さを謳歌し足りてない。
桃ちゃんは都内の専門学校で看護を学んでいる最中だ。「何か人の役に立つ仕事をしたい」と様々な選択肢から絞ってのそれだった。
さすがに忙しくて丸1日使ってのデートはなかなか出来ず、夕飯の時間には各自自宅へ帰って家族と過ごすという枯れっぷりだ。
街へ出て買い物なんかもするけど、美人な桃ちゃんの隣に背の高いだけで野暮ったい僕が並んでると周囲の目が気になって仕方ない。
これまでそんな負い目は感じたことが無かったのに不思議だ。女性として盛りを迎えた桃ちゃんはあまりに眩しくてどうも僕は卑屈になってしまう。
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