第54話

シャワーを浴びてくるから少し待ってろと言われたまりあだったが、聖也が部屋へ戻る頃には机に伏せたままの状態でぐっすり眠っていた。

短時間の間に色々起きたため疲れたのだろう。

眠っているまりあを抱きかかえそのままベッドへ運ぶ…少し早めに起こして家まで送ってやろうと思いながらそっと布団をかける。

こんなに近くではっきりと彼女の寝顔を見るのは初めてだった。

長いまつ毛にスっとした細い鼻、それにふっくらとした唇…まるで童話に出てくるどこかの国のお姫様のようだ。

その美しさに聖也は思わずまりあの頬に自身の手を滑らせた。

眠れる森の美女のようにこのままキスをして起こすのも悪くはないが、彼女を起こさないよう額にそっとキスを落とし静かに部屋を出た。

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