第52話
サッと上着を羽織り、聖也は彼女がいるフロントへ急いで向かった。
「まりあ」
優しく声をかけるも振り向いた彼女の目には大粒の涙が…ここでは他の人の目もあるため、とりあえずまりあを連れて部屋に戻る事に。
「大丈夫か?」
ソファーの下で膝を立て蹲る彼女に温かいコーヒーを入れ、そっと頭を撫でた。
こんな姿のまりあを見るのは初めてで聖也もどうすればいいのかわからず、ただ黙って側にいてやる事しか出来なかった。
「何かあったのか?」
その問いかけにやっと顔を上げてくれたと思ったら、答える代わりに今度は自身にすがりついてきた。
もちろん優しく受け止めた…そして携帯を手にし
『キスしてください』
「まりあ?」
『いっぱいキスしてください』
聖也に携帯を手渡したかと思うと彼女はそのまま俯いてしまった…それも涙を流したまま。
その肩は小さく震えている。
まりあに何があったのかはわからない。
恐らく余っ程の事があったに違いない…そう思うと彼の体は自然に動き両手でまりあの頬を優しく包んだ。
そして彼女の言う通りたくさんのキスを送った。
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