「…私もそろそろ、響谷くんにプレゼント渡そうかな。楽しみにしててね」

 階段を上り続けること早くも数十分。

「…はぁ…はぁ…」

 流石に疲れた…。

「…響谷くん、もしかして疲れちゃった?」

「あぁ、うん…」

「じゃあちょっと休もっか」

 シズクのその言葉を聞いて、俺は階段に座る。

「いやぁ、それにしてもいつ上がれるんだろうね?」

「…さぁ…」

 …っていうか…眠い…。

「…?響谷くん?眠たいの?」

「…ぁ…うん…まぁ…」

「疲れすぎたのかな…それにしては眠くなるのが早い気がするけど…」

 首を左右に振って、どうにか眠気を振り払おうとする。

「人が折角休憩させてあげようとしてるんだから大人しく眠りなさいよ」

「ぁ…リン…?」

「リンちゃん?」

「ここは時間の経過が無いから、好きなだけ眠ればいいのよ。…それに、枕なら丁度いいのがあるじゃない」

「えっ…枕って…。ま、まさか…私?」

「それ以外に誰が居るのよ。こんな固い階段で眠らせるの?」

「いや…それは…」

「じゃあ、貴女が枕になるほかないわね」

「…うぅ…。…じ、じゃあ響谷くん…はい…」

 シズクが俺の隣に座って、自分の膝をポンポンと叩く。

「…でも…」

「人の厚意には甘えなさいよ。そんなだから親にも見捨てられ―――」

「―――リンちゃん?その発言はちょっとよそうか。響谷くんの傷口を抉るのは許さないよ?」

「…わ、分かったわ…ごめんなさいね」

「…あぁ、…気にしてない…か、ら…」

 やばい…もう………眠気が………。



 私には睡眠…というか、睡眠も食事も必要ないから、すっかり失念していた。そう、響谷くんは人間なんだ。疲れることだってある。

「…それで、リンちゃん?」

「…何かしら」

「何でずっと響谷くんの寝顔を見てるの?」

「いえ…特に何もないのだけど…。…年に見合わない、随分と子供っぽい寝顔だと思っただけよ」

 年に見合わない…。そうなのかな…?図書室で寝る人なんて数えるくらいしか居なかったから良く分かんないや。

「…そういえば、食べ物は持ってきてるの?」

「…あっ…」

 やば。

「………はぁ~…。…ちょっと待ってなさい」

 そう言って、リンちゃんが一階の方へ姿を消す。暫く待っていると、リンちゃんが一階から踊り場に上がって来て、私に弁当を手渡す。

「家庭科室にあった食材で適当に作っただけだけど、これ」

「…ありがとうリンちゃん。…リンちゃんって料理できたんだね」

「えぇ、自分でもびっくり」

「そうなんだ」

「…それじゃあ、私は戻るから」

「うん、ありがとうねリンちゃん。また頼らせてもらうよ」


 …それにしても…。

「…寝顔…かわいいな…」

 響谷くんの寝顔…幼いかどうかは分からないけど、かわいい。

 ギャップっていうのかな。普段の感じはもっとこう……もっと…こう………。

「…響谷くん…」

 響谷くん…家ではどんな感じで寝ているんだろう…。

「…あ、おい…おいてかないで……やだ…」

 …確かに…少し、子供っぽいかもしれない。…だけど…これも仕方ない…のかな。

 あおい…青井…蒼井…藍井…。…響谷くんの親…の名前、かな?

 …置いていかないで…か…。

「…私は、君の事を置いていかないよ。…約束する。いつも…いつまでも、君の傍にいるからね」

「…ん…しず…く…?」

「あ、響谷くん。おはよう」

「…何分…寝てた…?」

「えっと…50分くらいかな?…体内時計がほとんど機能してないからわっかんない」

「…そっかぁ」



「…それじゃあ、階段上り再開しよっか」

「…へいへい…」

 俺達はまた階段を上り始める。


 それからまた十数分。

「…あ…?」

 階段を上り終わると、1階と似たようで…少し違うような景色に出る。

「…これは…2階、かな?」

「…やっと着いた…」

 俺は安心してその場に座り込む。

「こらこらぁ、こんな所で疲れちゃだめだぞ響谷くん」

「…そりゃ…シズクは疲れてないだろうな…」

「まぁ、私に疲労とか体力とかそう言う概念は無いからねー。人外だし」

「…羨ましいよ…ほんとにさ…」

「なら、君もこちら側に来てみたらいいのに」

「はは…お断りだよ」

「そっかぁ」


「…で、結局2階のどこに行けばいいんだっけ」

「音楽室だったかな?確か、ひとりでに演奏しだすピアノを見たいとかなんとか言ってた気がする」

「言った本人が忘れてどうするんだよ…」

「まぁまぁ、ほら、階段にいる時間が長かったからね?」

 まあ、確かに。

「っていうか、あれどういう原理だったんだろうね?」

「…シズクが居るのはどういう原理なの?」

「え?…う~ん…」

「そういう事だよ」

「そういう事かぁ。…ま、それじゃあさっさと音楽室にいこーか」

「はいはい。それじゃあ先導よろしくシズク」

「はーい、それじゃあついて来てね響谷くん」

 ふわふわと浮いて移動を始めるシズクの後ろをついて行く。

「…そういえば、私は響谷くんにプレゼントってした事ないね」

「ん…あぁ、まあ確かに」

 俺がシズクに渡したことは…あぁ、そういえばラノベ買って渡したんだっけ。

「響谷くんのラノベは…今もほら、大切に持ってるよ」

「そう」

「…私もそろそろ、響谷くんにプレゼント渡そうかな。楽しみにしててね」


――――――――

作者's つぶやき:Q.この話を書いているときの作者の気持ちを答えなさい

A.眠い、ネタが浮かばない、だけど他の作品のネタばっかり浮かんでくる。あとブルアカもゼンゼロも艦これもアークナイツもやりたい。推しの配信も見たい。学校行きたくない。ずっと土曜日が良い。オールウェイズだらだら過ごしたい。

国語のテストでこんなこと書いてもバツをもらうだけなんですよね。事実なのに。

まあ、自分の感情なんて自分にしか分かりませんしね。

あ、そうだ…そろそろギシカノのリメイクもあげなきゃ(謎の使命感)

――――――――

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幽霊と学校七不思議を巡る。(更新一時停止中) ますぱにーず/ユース @uminori00

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