ようこそ!! 国立第5魔法学園へ!!

@HasumiChouji

プロローグ

ピーチガール

「ふざけんじゃね〜ぞ、脳味噌に蛆が湧いてるクソボケのオカルト軍人がッ‼ 今時、ハリー・ポッターになりたがってる中学生が居るかッ‼」

 学年で一番ガラが悪いけど、成績も一番のさかい晴香は、校長室から出た途端に、そう毒突いた。

 ごめん……僕、少し憧れてた……ハリー・ポッターにも、ホグワーツみたいな「魔法学園」にも……。

 彼女は、模擬試験で県内の公立進学校ではトップ3に入る久留米のM学園の理数科に余裕で入れる成績を叩き出してて、しかも、希望してる進学先の3番目までのどれか1つにでも合格出来たなら、北九州のハイテク企業「高木製作所」……規模はそれほどでも無いが、技術力では日本トップクラスと言われてる所だ……が運営するNGO「彩雲基金」から返済不要の奨学金がもらえる筈だった。

「聞こえるって……」

「うるせえ、あのナチ野郎の耳に入って強制入学が取消になるんなら、願ったり叶ったりだ」

 1時間ほど前、僕と境は、校長室に呼び出された。

 そして、そこに居たのは特務憲兵隊の魔法士官だった。

 その魔法士官の説明では、どうやら、中二の頃から健康診断に追加された「魔力検査」で、僕と境は、この学校内どころか、市内すら超えて、福岡県南半分の同じ学年の子供達の中でも有数の「魔力量」の持ち主だと判明したらしい。

 どうも、今の内閣は「魔法・心霊術の産業化や国防分野への大規模適用」を計画してるようで、魔力検査で高い評価が出た中学3年の子供は、半強制で国立魔法学園に進学する事になる……そうだ。

 つまり、エンジニアや工学系の研究者になるって境の夢は、国家権力によって、あっさり潰された。

「しかし、何で、僕達なんだろうね?」

「何が?」

「いや……何で、魔法使いとか呪術師とか心霊能力者の家系じゃない僕達に、そんな凄い魔力が……」

「阿呆か?」

「へっ?」

「聞いた事無いのか? その手の家系や流派・宗派では……わざと自分とこの子供にって話を」

「え……いや、それって……どこで聞いた噂? SNSのデマとかじゃないの?」

「呑気だな……」

「な……何を知ってるの?」

「もし、ガチの『魔法使い』系の連中にとって、だとしたら?」

「で……でも、いくら何でも、国立だよ? 学園の運営は国だよ? そんな変な所の筈が……」

 ああ、そうだ。

 この時点での僕は、とんだ甘ちゃんだった。

 しかも……同じ市内に僕達の進学先「国立第5魔法学園」が有るのに……何も気付いていなかったのだ。

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