第12話


翡翠が言う事に、心当たりはある。



嫌ってほどに。




「瑠璃さん?」


「…………。」



だからと言って、翡翠に名前を呼ばれても、何と答えれば良いのか。




取り繕う事は、得意だった。




その人に合わせ、仕草も、欲しい言葉だって、自在に自分自身で変えられたの。




それは、”昔“の癖。





”あの頃“を生き抜くには、必要な事だった。



「…………言えない、事、ですか?俺達にも。」



「……翡翠……。」




寂しげな翡翠の表情に、眉を下げる。

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