第29話
最低だな。
笑みを作りながら、冷めた目を向ける。
「あら、私本気よ?」
でも、本当なの最低なのは、そんな女だと知りながら抱く自分自身。
汚れていく。
どこまでも、真っ黒に。
「ねぇ、千里?」
「はい?」
「次はいつが暇なの?」
女の腕が絡み付く。
むせかえるぐらいに香る、臭い香水。
身体に染み込む気がした。
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