色相環のパラグラム

兎莵兔菟

序章 黒

四年前、終わり

 そこには、泣き崩れる義父母の姿があった。

 人に何かを与えたかった。しかし、いつも奪ってばかりだった。

『お前のせいだ。お前のせいで、こんな事になったんだ』

 顔を埋める義母。

 義父は、私の頬を叩きつけた。

『だいたい、お前のはろくな仕事じゃないじゃないか。それに、もう出来ないんだろう!』

 唇をかみしめて、目を伏せる。

 手を握りしめるような気分で、しかし、そんな事は出来るはずもなく。


「……すみませんでした」


 ほら、また。ひとつ失った。

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