眼振
壱原 一
スマホ持つじゃん。親指を片方の端に添えて、手のひらで背面おおって、親指以外の4本の先が反対の端に揃うでしょ。
それで夜ベッドに横んなって、充電器で充電しながら、スマホ色々みるとする。
寝るとき電気暗くするから、基本ほぼスマホの明かりだけでしょ。
画面の四角に光が出て、顔面がぱあっと照らされて、後はほぼほぼ暗い部屋で、横んなってスマホ持って見てるわけ。
スマホと顔が近いでしょ。
そんでふと4本の指を見る。
飽くまでメインはスマホ画面で、視界の隅に入れる感じで、スマホの片端に揃ってる4本の指先を見る訳ね。
それを暫くやってると、動かしてない指先が、4本ごそっと動くのよ。
そういう瞬間があんの。
瞬きで目ぇ瞑って開けた時とかね。
ちょうどカメラの手振れみたいに、がっと視野ごと位置がずれて、なんか痙攣したみたいに、4本全部びくっとすんの。
俗に眼振って言うらしい。えー、生理的眼振とか、固視微動とか。
特に意識してなくても、呼吸とか脈とかみたいに、自然に目ん玉が動いて、あちこち見てんだってさ。
ふだん動く分は脳で補正されてる感じらしい。
んで、近すぎると補正もれで一部がずれて見えるらしい。
夜、電気暗くした部屋で、あと寝るだけのリラックス感と、スマホのひかり近距離で見てる集中状態が効くみたい。
それほんと?って試すじゃん。
夜、電気暗くした部屋で、横んなってスマホ持つ。
飽くまでメインはスマホ画面で、視界の隅に入れる感じで、スマホの片端に揃ってる4本の指先を見る訳ね。
で、実際4本指が動く。
おーほんとだーって感心する。
毎回なる訳じゃないから、引き続きスマホメインで見ながら、指も視界に入れといて、ちらちら意識向けるでしょ。
瞬きで目ぇ瞑って開けた時とかに、動くかなって指みるじゃん。
指の向こうから知らん人が「よっ」てこっちを覗くのよ。
黒髪で勤め人風の、眉濃くて垂れ目がちの人。
まぶた厚めで目ぇ細くて、なんか福々しい感じの、あの、あれ、恵比須様に似てる人。
ほんとに「よっ」て言う訳じゃないし、出て来んの顔だけだから、目ぇ覚めちゃった夜とかに、気軽に試してみてほしい。
根元んところ見た感じ、充電器つけてスマホ見てて寝て、巻き込んで絡んじゃった人っぽい。
心配で注意しに来んのか、同じになんの見に来んのか、ちょっとまだ分かってないのか、その辺ほんと全く謎。
出た後どうなるか気になんない?
気になって即やったんだけど、割とおもろいから試してよ。
目ぇ覚めちゃった夜とかに、思い出したらで良いからさ。
試してみてよ。絶対に。
夜、横んなって充電器つけながら、スマホ持って指見るだけ。
簡単でしょ。試してみてね。
いつでも良いから試してね。
終.
眼振 壱原 一 @Hajime1HARA
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます