第二十三話

空中歩行エアウォーク?名前的におそらく地面以外も歩けるようになるんだろうけど」

蒼月が周囲を確認すると、確かに上空から銃を撃っている人影が見える。


「あんなに上空からってスナイパーライフルだよな・・・?空中歩行エアウォークはサイキックリングつけなくても使用できるのか?」

疑問に思いサイキックリングを装備枠から外して超能力を使用してみるが、空中歩行エアウォークが発動することはなかった。


「まぁ、使えないよな・・・。」

サイキックリングを装備して空中歩行エアウォークを使ってみると簡単に発動した。

模倣コピー欄に有る空中歩行エアウォークの説明を確認する。


空中歩行エアウォーク

空中を歩行することが出来る。


「いや、そのまますぎるだろ!もうちょっとなんか捻りとか無かったの?」

蒼月は空中歩行エアウォークの説明を閉じる。


「あれ?ってか模倣コピーって見てないとダメじゃ無かった?なんで発動した?」

蒼月は模倣コピーの部分をタッチして能力を確認する。


模倣コピー

付近で超能力を使用して戦っていると模倣することができる。

ただしオリジナルより大幅に弱体化する


「え?なんかレベル上がったから能力が強化された?てか今気付くってヤバくね?みんな超能力つかわなすぎじゃね?」

蒼月が超能力強化のペンダントを装備したのは昨日。

今の今まで気付かなかったということは、ほとんどの人が銃を使って狩りをしているということである。


「折角超能力使えるのに勿体無いよなぁ」


「蒼月様?」

モンブランの声がしたので目線をそちらに移す。


「やっとこちらを向いてくださいましたね!話しかけても反応がないので、驚きましたわ」

モンブランは何度も蒼月に声をかけてくれていたようだが、蒼月は考え事に集中しすぎて声が聞こえてなかったようだ。


「おぉ、すまん。ちょっと考えすぎる癖があるのかな?」


「先程から言っていた空中歩行エアウォークの御仁ですが、銃を当てるのお上手ですわね。二魂坊にこんぼうのあの錫杖に当てるのは難儀しそうですのに」

モンブランは湧いてくる二魂坊にこんぼうの方を見ながら話す。


あの狙撃手は二魂坊にこんぼうの細い錫杖にしっかりと弾を当てて倒している。

「確かに上手いな。こりゃバトルロイヤル楽しみだなぁ!ちょっと話してくるわ!」

蒼月は狙撃手の腕に感心しながら空中歩行エアウォークを使い、狙撃する人影のもとへ移動する。


「おーい!」

蒼月が手を振りながら近付くと狙撃手はスコープを覗くのをやめて、蒼月の方へ目線を移す。


「へぇ、こんなところで人に会うなんて珍しいな。あんたも浮遊系の超能力を選んだのかい?」

ベレー帽を被り、防弾チョッキを着た軍服の男は銃を下ろして蒼月に話しかける。


「まぁそんなとこ!それにしてもあんた狙撃上手いな!なんかコツとかあるのか?」


「狙撃のコツか?無になることだよ。ハハハハ」

男はスナイパーライフルを構えるのを辞めて背中へ担ぐ。


「なるほど、無になるのか・・・。俺には無理そうだなぁ。折角、同じような能力だから真似しようかと思ったんだけどなー」


「まぁ、俺は趣味で実銃とか撃ちに行ったりしてるからな。あんまり当てにならんかもな」


「おぉ!すげぇ!実銃経験者!やっぱりゲームと実銃は全然違うのか?」


「いや、このゲームはすげぇよ。実銃撃ってんのと対して変わんねぇ。だからこのゲームサービス開始以降行く気が失せちまったよ」


「そんなにすげぇのか。てかスナイパーライフル持ちなのにどうやって浮いてるんだ?」


「ん?あぁ、気になるか?」

男はニヤリと笑う。


「そりゃ気になるだろ!サイキックリングっていう制約があるせいで、俺も苦労してんだよ!」

蒼月は大袈裟に話す。


「まぁ、そうだよな。いいぜゲーム内通貨50万で教えてやる」


「50万か・・・」

出し渋っているわけではない。

茨木童子を倒した時にかなりの金額が手に入ったので別に払えない金額では無い。


「別に払うのはいいんだが、その情報が確実っていう保証がなぁ」


「もしも違ったら攻略掲示板にでも晒せばいい。ステータスの画面スクショ撮らせてやるよ。名前からステータスまで全部が攻略掲示板に筒抜けになったら、次のイベントは致命的だろ?」


蒼月は交換条件を待っていたのだ。

ここまで言ってきて、この男が嘘をつくなら大したもんだ。


「なるほど、わかった。なら50万払うよ」

蒼月はUIを操作して、アイテム欄から50万取り出し男性に渡す。


「おぉ、持ってんのかよ。浮遊系で銃も持ってないからそんなに強くないと思ったが、案外やるんだな。

オーケー、教えるぜ」

男はステータス画面を蒼月に見せる。


蒼月は男性のステータス画面のスクショを撮ってから装備欄を確認すると、装飾品の欄に『サイキックオーブ』というアイテムが装備されていた


「サイキックオーブ?」

蒼月が声に出すと男が頷く。


「そうだ。俺が両手武器をを持ちながら超能力が使える秘密だ。サイキックオーブはボスから低確立でドロップだと思われる。フレンドとボスに何度か行ったが、1度しかドロップしなかったからな」


「えっ?ボスって何度でも戦えるのか?」

サイキックオーブも気になるがボスに何度でも挑戦できることの方が蒼月にとっては重要だった。


「あぁ、一度倒せばその後何度でも挑戦できるぜ」


「マジか。知らんかった」


「まぁやってみろよ。ちなみに俺は茨木童子ってのからドロップしたからな。どうやって戦うかは攻略掲示板でも見ればいい。それじゃあ俺はもう行くぜ。50万使って装備強化したいからな」


「おう!助かったぜ!あんがとな!」

蒼月がお礼をいうと男性は後ろでに右手を上げ、そのまま街へ戻っていく。


蒼月はモンブランが居る場所に戻る。

「お嬢、レベルどんなもんだ?後少しで上がりそうなら、上げてから街に一旦戻ろうかとおもうんだが」


「もう少しでレベル20に上がりそうですわ!」


「オーケー、なら上げてから戻るか」

蒼月はモンブランの言葉に頷き、二魂坊にこんぼうを狩りに戻る。


10分ほど二魂坊にこんぼうを狩り続けると、モンブランから声がかかる。


「レベル上がりましたわー!」

モンブランが蒼月に向かって手を振る。


「なら一回街戻るか。ちなみにステータスはどうだ?」


「はい!言われた通りにしてます!」

モンブランはフンスと鼻音を鳴らす。


「おっ、さすが!」


「そういえば、ついさっき気が付いたのですが破裂炎球ブラストボールのレベルが2になってましたわ」


「まじ?」


モンブランは頷き、UIを操作してステータスを開く。

蒼月はモンブランのステータスを覗き込む。


モンブラン

Lv20

HP 650/650


【VIT 7】

【STR 7】

【DEX 7】

【AGI 7】

【LUK 7】

【PSY 107】


装備

頭 【華族の頭飾り】

体 【華族のドレス】

右手 【サイキックリング】

左手 【無し】

靴 【華族の靴】

装飾品

【無し】

【無し】

【無し】

超能力

破裂炎球ブラストボールLv2

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