大好きな幼馴染はストーカーでした

☆yua☆ゆあ

1話 幼馴染はストーカー

近堂 晴海 (こんどう はるみ)

中3

ただいま大好きな幼馴染

松来 絢斗 (まつらい あやと)

と登校中です!

ニヤけていると絢斗が

「何変な顔してんの」

といってきた

「どこがよ」

反発すると絢斗は、

「そうだ、元々変な顔だったのか」と、ニヤッと嫌な笑みを浮かべた

「むぅ~」

もう…


好き!

何その笑顔?!かわいい!かっこいい!

好き!何年経っても変わらないその悪役がしてそうな笑顔!

最高かよ〜!


そう、私は小さい頃から絢斗が好き

ただ、絢斗は私に興味がない

そしてモテる

ファンクラブもあるらしい

正直、叶う気がしないけどそれでも頑張りたい

「あ、絢斗お弁当作っといた」

「おお、サンキュー」

毎日作れって言うから作ってる

でも、喜んでくれるのが嬉しい

「おい晴海、お前塩と砂糖、間違えてねえよな?」

「んなわけないでしょ?!

何年あんたの弁当作ってると思ってるの?!」

中学1年生から作ってるのに…!

「3年」

「そう!

3年も作ってて間違えるわけないでしょ?!」

もう!

意地悪なところも嬉しいって思っちゃう…!

「毎日作ってくれてサンキュー」

そう言うと

私の頭を撫でた

かああっ

真っ赤になった

もう!

人の気も知らないで…


「おはよー!」

「おはよう奏」

元気な挨拶をしているこの子は

清水 奏(しみず かなで)

優しくて明るい子

私が絢斗を好きなことを知っている唯一の友達

「ねぇ…」

「ん?」

奏が話しかけてきた

「毎朝真っ赤で登校してくんのやめて?」

「まままっ毎朝真っ赤?!」

うそ?!冷ましてから来るのに!

「うん、いつもよりちょっと赤い分かる」

「ちょっとは真っ赤じゃない!」

さすが親友!

分かっちゃうよねじゃない!


奏と話していると視線を感じて教室のドアに目を向ける

そこには

絢斗がいた

「あや…」

話しかけようと思って席を立つと

その隣にはこの世のものとは思えないほどの美人な子がいた

あれは、同じ学年の栗山美空(くりやま りく)

髪の毛はサラサラで目もパッチリしてる

お兄さんもイケメンでモテてた

なんで絢斗と?!

パチッ

絢斗と目が合った

すると絢斗はニヤッと笑って戻っていった


それけらずっとモヤモヤする

悔しい悔しすぎる

あんな美人な子に絢斗を取られた

分かってた最初から

私なんかが隣にいられるような人じゃない


ボロボロ泣いていると

目に映ったのは『アイドル募集中』というチラシだった

これに合格できれば自信がつくかも

それから朝も帰りも絢斗とは行かなくなった


私は精一杯歌の練習ダンスの練習をした

本番

「さあ始まりました!

今回のアイドルオーディション! 

このオーディションは観客の皆さんの投票で決まります!

まず1番はー!〜〜!」



『2番、ハルミ!

趣味はカフェ巡り、志望理由はみんなを笑顔にしたい、アンチさえも幸せにしたいからです!』

「では課題曲、【YSR ファンの皆にマジ感謝!】」

音楽が流れ始める

辛かった時に支えてくれたこの曲

絶対歌いきる

『ファンのみんなにマジ感謝〜!

ファンのみんなのおかげで

スタッフの皆さんのおかげで

メンバーのおかげで

ここにあったホールのおかげで

つまり皆んなのおかげで

ここで〜歌えてるんだ!

感謝しかないよ、みんなには

これからもよろしくね』


わあっ!

と歓声が起きる

それから残り約10人が歌った


「それでは歓客の皆さん!投票をお願いします!」

グループじゃないソロだ

だからこそスキャンダルもできないし

間違えたときの反応も大きい

だけど頑張るって決めた!


ーー?!

絢斗?!

なんでここに!

クチパクで何か伝えてる

が ん ば れ よ ?

いやそれ最初に言えや

何で来たんだろう

興味とかなかったのに

そんな事を考えていると

『結果発表〜!!』

11位!〜〜〜〜!



あとは最下位か、優勝…!

第1位!

『ハルミさん〜!』

やったぁ!!

…あれ?

これ優勝したらだめじゃん!

恋愛できないじゃん!

オワタ…

辞退なんかしたら余計炎上する

どうにでもなれ!

『一言どうぞ!』

『みなさん!投票ありがとうございます!

期待に応えられるよう、精一杯頑張ります!』


絢斗に目をやるといつものイラッとする笑い方じゃなかった

微笑むような優しい笑い方

それがただただ嬉しかった

このあと起こる悲劇を知らずに

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